米国にケンカを売った「韓国」から外国人投資家が逃避 ムーディーズには怪しい動きが

鈴置高史 半島を読む 韓国・北朝鮮 2019年11月30日掲載

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ムーディーズの怪しげな動き

――今後の注目点は?

鈴置:米格付会社、ムーディーズ(Moody’s)の格付けです。1997年秋の通貨危機の際も、米政府の代理人と見なされるムーディーズが韓国からの資本逃避に一役買いました。

 当時、ムーディーズは2カ月弱の間に6等級も韓国の格付けを引き下げました。降格が資本逃避を呼び、それがまた降格をもたらすという悪循環に陥った韓国は、いとも簡単に破綻しました(「蟻地獄に堕ちた韓国経済、『日本と通貨スワップを結ぼう』と言い出したご都合主義」参照)。

 今回もムーディーズは怪しげな動きを見せています。11月19日、ソウルで2020年の韓国経済見通しに関するセミナーを開きました。その場で、押し並べて業績が悪化している韓国企業の格付けを来年、一斉に下げる可能性を示唆しました。

 韓国経済新聞は「ムーディーズ『韓国、格付け大量降格』警告」(11月20日、中央日報・日本語版)で次のように報じました。日本語を整えて引用します。

・ムーディーズは半導体、自動車、鉄鋼、通信、流通、石油精製、化学など主要業種の信用見通しを「否定的」と評価した。「肯定的」と予想した業種はひとつもなかった。
・ムーディーズは格付けした韓国企業(金融会社と政府系企業除く)24社のうち、半数を超える14社の信用度に否定的見通しを付けている。昨年の5社と比べ、3倍近くに増えた。
・ムーディーズは下半期に入り、本格的に韓国企業の格付けに赤信号をつけている。8月に降格されて3カ月しかたたないイーマートの格付け(Baa3)見通しを「安定的」から「否定的」に変更した。LG化学(A3)、SKイノベーション(Baa1)、現代製鉄(Baa2)などの格付けに、引き続き否定的な見通しを示した。
・18日にはKCCの格付けを投機等級である「Ba1」に落とした。格付け降格後も否定的見通しというレッテルを貼り、さらに下方修正する含みを残した。

 「降格」はあくまで企業の格付けに関してです。韓国という国家の格付けを下げる、とムーディーズが表明したわけではありません。

 ただ、韓国を代表する企業がこれだけ大量に、かつ一斉に格下げに直面する以上、国家の格付けに悪影響を与えるのは間違いありません。

1997年のデジャヴ

 1997年秋の韓国の通貨危機も、米韓関係が悪化した時に置きました。当時も金泳三(キム・ヨンサム)政権が米軍情報を中国に伝えていたことが発覚、米国の怒りを買っていました(『米韓同盟消滅』第2章第4節「『韓国の裏切り』に警告し続けた米国」参照)。

 今回も、米国の安全保障を左右する日韓GSOMIAを米国に相談することもなく、韓国は破棄を宣言した。最後の段階になってようやく「維持」と表明したものの、翻意を促しに訪韓したエスパー(Mark Esper)国防長官に対し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はけんもほろろに拒否しました(「文在寅がGSOMIAで米国に〝宣戦布告〟 『茹でガエル』戦術から一気に米韓同盟消滅?」参照)

 顔に泥を塗られた米国の政府関係者は憤っています。市場で「1997年のデジャヴ」が語られ始めたのも別段、不思議ではないのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

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