ワンス・アポン・ア・タイム・イン・巨人軍(ジャイアンツ)第1回 さらば昭和の読売巨人軍

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令和の巨人軍論を!

 さて、そんな時代に巨人はどう巨人であり続けるのか? ジャイアンツらしさとはなんだろうか? もしかしたら、このコラムを偶然目にした読者も昔は毎晩ナイター中継を見ていたのに、最近は巨人戦からすっかりご無沙汰という人も多いかもしれない。バブル好景気の象徴であり、昭和の終わりにできた東京ドームは開場30年以上が経過して屋根もすっかり黄ばんできた。

 それでも、プレーの質自体は今の若い選手の方が明らかに進化していると思う。現在のチームの柱にして、生え抜き右打者初の40本塁打を放ったキャプテン坂本勇人は球団史上最高のショートストップだし、菅野智之は往年の斎藤雅樹・桑田真澄・槙原寛己の3本柱と比較しても見劣りしないエースだ。岡本のホームランの軌道は天性のホームランアーティストそのものである。それは今も年間50試合前後は巨人戦を球場観戦する現役G党の自分が保証する。

 今も変わらず“巨人ファン”のあなたへ。あの頃、ONや中畑や松井を追いかけていた“巨人難民”のあなたへ。そして、“アンチ巨人”のあなたへ。

 本連載は「昭和のプロ野球」を否定するものではなく、かといって「平成のジャイアンツ」をただ懐かしむつもりもない。これからの「令和巨人論」を書くつもりである。

中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)
1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ「プロ野球死亡遊戯」は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。著書に『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『平成プロ野球死亡遊戯』(筑摩書房)など。最新刊は『原辰徳に憧れて ビッグベイビーズのタツノリ30年愛』(白夜書房)。

2019年11月21日掲載

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