「スマホ使用で思春期の脳が壊れていく」 脳トレ開発者の警告は黙殺された!

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「脳の発達が止まった」

 川島氏は、より憂慮すべき子どもの脳の実態を明かしてくれた。

「平均年齢約11歳の224名を、3年間追跡調査したところ、頻繁にスマホでネットを使う習慣のある子どもたちの、脳の発達が止まっていたことが分かりました。例えば、調査を始めた時に小学校6年生だった生徒なら、中学2年生になっても頭の中は小学生のままだったということです。小学生がいきなり中学校の授業を受けても理解できず、成績が良くならないのはあたり前でしょう」

 掲載図は、子どもたちの脳をMRIで解析した画像と、脳部位の発達的増加を表すグラフである。ネットを毎日のように使った子どもは、脳の「灰白質」や「白質」と呼ばれる部位の容積が増加していないことが判明した。

「『灰白質』とは、大脳や小脳の神経細胞層。大脳は思考や記憶、小脳は運動の制御を司っています。発達期にあるはずの子どもの『灰白質』が増えていないとなれば、脳の中であらゆる命令を出す神経細胞そのものが発達していないことになります。『白質』は、神経線維といって、神経細胞から情報を送る電線のようなもの。これが増えなければ、脳の神経細胞を繋ぐ電線が発達せずネットワークが劣化してしまいます。スマホの長時間使用における学力低下の原因は、脳の未発達であることがハッキリしたんです」(同)

 この分析結果を川島氏が脳画像研究の米学術誌「Human Brain Mapping」に投稿したところ、従来にない研究成果として採択された。昨年7月には東北大のプレスリリースとして発表したが、新聞やテレビが大々的に報じることはなかった。

「もの凄く深刻な結果なのに、メディアの方々に黙殺されてしまいました。日本以外では非常に有名なデータなので、スマホ関連の業界に遠慮したのではと勘繰られても仕方ない。現在は東北大の学生を対象に、まったく同じ調査を行っていますが、大人でもスマホを使いすぎると白質量の劣化が進むことが分かってきた。論文を作成中なので具体的なデータをお見せできる段階ではありませんが、子どもたちへの調査における結果が、我々大人にもあてはまる可能性が高いのです」(同)

週刊新潮 2019年8月15・22日号掲載

特集「『スマホ』が危ない! 高齢者と子どもを蝕む『脳の病』」より

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