輸出規制に文在寅は打つ手なし、日本を非難するほど半導体は「韓国離れ」の皮肉

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米国主導の「韓国叩き」

――「中国側に寝返った韓国」に米国もお灸をすえる……。

鈴置: 米国は今、中国との覇権争いを始めました。その中国側に寝返った韓国に、米国がメモリー生産の過半を任せるわけはない――と考えるのが普通です。

 半導体は戦略商品です。清涼飲料水やピーナッツバターとは異なります。1980年代、日本を仮想敵と見なした米国が、世界市場を独占していた日本のメモリー産業を、ありとあらゆる手を使って潰したのを皆が思い出し始めたのです(「北朝鮮への『横流し疑惑』で、韓国半導体産業の終わりの始まり」参照)

 そもそも、北朝鮮の多連装ロケット砲の射程に韓国の半導体2社の主力工場が入ってしまった(「北朝鮮への『横流し疑惑』で、韓国半導体産業の終わりの始まり」参照)。

 最近、北朝鮮が配備した8連装の300ミリロケット砲の射程は200キロを超えるとされます。サムスン電子の平沢工場も、SKハイニックスの清州工場も軍事境界線から200キロ以内の場所にあるのです。

 韓国人が「日本にいじめられた」と騒げば騒ぐほど、世界は韓国半導体産業の地政学的な弱点に気がつくわけです。日本政府が素材の輸出を絞らなくても、世界の半導体のユーザーが韓国メーカーへの注文を減らし、そのシェアが落ちて行く構図です。

分裂し始めた韓国

――保守系紙も案外と文在寅政権に協力的ですね。

鈴置: 日本に肩をそびやかし、なめられまいとする点では政権と歩調を合わせてきました。ただ次第に、保守系紙と文在寅政権の対立が表面化しています。

 文在寅政権が日韓関係に関し、政府を批判したメディアを「売国だ」「利敵だ」と決めつけたからです。挙国一致を図る狙いでしょうが、保守メディアから強い反発を呼んで逆効果となっています。

 日本との戦いに備え団結すべき時に、韓国は分裂し始めたのです。日本人が言うのも変かもしれませんが。

――その話は次回にでも。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年7月23日掲載

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