輸出規制に文在寅は打つ手なし、日本を非難するほど半導体は「韓国離れ」の皮肉

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WTOでは返り討ちに

――韓国政府はWTO(世界貿易機関)で訴える、と息まいてもいます。

鈴置: それは返り討ちにあいます。日本政府は、兵器にも転用される半導体の素材に関し「韓国に関する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」と管理強化の理由を説明しています。

日本に追い詰められた韓国 米国に泣きつくも『中国と手を切れ』と一喝」で指摘した通り、韓国の国会でも「韓国の不適切な事案」――日本に返品したはずのエッチングガスがどこかに消えた事件が野党議員によって暴かれたのです。

 韓国政府はWTOで「日本は政治的な報復のため自由貿易を侵害した」と主張する方針です。でも、この「不適切な事案」をきちんと説明しない限り、主張は通りません。

 そのうえ「韓国の国会でも問題になった、日本に返品したはずのエッチングガスはどこにあるのだ」と問い質されることになると思われます。

――韓国政府は「日本の輸出管理こそ、いい加減だ」と言い始めました。

鈴置: 韓国がそう主張するなら、日本に対する「ホワイト国」指定を外して、軍事用に転用されかねない物質の対日輸出の管理を強化すればいいのです。日本が韓国へのホワイト国指定を外すのと同じことです。

 韓国が対日輸出を渋っても、日本は困りません。他の国から買えば済むのです。一方、韓国は日本から輸出を絞られると困る品目が出てきます。

 日本以外からは買えない品目もあるからです。だから韓国からは「対抗して、こちらもホワイト国の指定を外すぞ」との声が上がらないのです。

自分の首を絞める韓国人

――韓国では日本製品の不買運動が始まりました。

鈴置: でも、日本の産業界から懸念する声は出ていません。過去の不買運動もすぐに「盛り下がり」ました。仮に長続きしたとしても、日本の消費財メーカーの韓国依存度は高くない。

 韓国に対する日本人の不信感の高まりを考え、日本企業も「不買運動があるから輸出管理の強化はやめよ」とは言い出さないでしょう。そう主張するのは日本の左派系紙ぐらいです。

 韓国の政府もメディアも、不買運動する一部の人々も、自殺行為に及んでいます。「日本が半導体素材の輸出を規制するのはけしからん」と騒ぎ立てるほどに、自分の首を絞めています。

 世界の半導体ユーザーは韓国の2社――サムスン電子とSKハイニックスにメモリーを依存するのは危ないな、と考えるからです。

 大量のユーザーは長期契約を結んでいますから、今すぐに韓国2社への注文を減らすわけではありません。

 でも契約更改の際には、DRAMだったら米マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)に、NAND型フラッシュメモリーなら東芝メモリに、発注先を次第に切り替えて行くはずです。なお、マイクロンも東芝メモリも生産能力を増強中です(「北朝鮮への『横流し疑惑』で、韓国半導体産業の終わりの始まり」参照)。

 韓国の一番の失敗は、米国に助けを求めたことです。米国からは冷たくあしらわれたのですが、その結果、「今回の日本の措置は米国との合作」との見方が浮上したのです。

 日米合作説、あるいは米国黒幕説に立てば、韓国が泣こうがわめこうが、米国が日本に輸出管理の強化をやめさせることはありない――。そう見切った世界の半導体ユーザーはますます発注先を切り替え、「韓国離れ」が激化してしまいます。

困った時だけ米国頼み

――韓国人は「日米合作」に気づいているのでしょうか?

鈴置: 気づかないわけがないと思います。ただ、メディアにはそうした見方はあまり載りません。書けば、絶望的な心境に陥るからでしょう。

 私が見た限りですが7月16日、朝鮮日報がちらりと書きました。まず、社説「米が『韓日仲裁』しないのなら、我々に他のテコはあるのか」で次のように指摘しています。

・憂慮すべきは米国が今、積極的に(仲裁に)出ないのは、日本が貿易の報復措置に出る前に米国に事前に協力を要請し、了解を得ていた可能性だ。
・米国が精魂込めるインド太平洋戦略、反ファーウェイ(華為技術)戦線への参加要求に日本は積極的だ。が、韓国は微温的だ。「困った時だけの米国頼み」に効果があるかは疑問だ。

 言わば「米国の事前了解説」ですが、同じ日に同紙の金大中(キム・デジュン)顧問は「文政権の国家経営能力は限界に」で、もっと厳しい「合作説」を打ち出しました。

・日本の報復措置は米日合作の作品である可能性が高い。
・対北朝鮮制裁の解除にだけにこだわり、対中牽制要求から目をそらす文政権にトランプは警告(?)する必要性を感じた可能性がある。

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