オウム死刑執行から1年…未亡人が明かす、新実智光が綴っていた「麻原彰晃との決別」

国内 社会 週刊新潮 2019年7月11日号掲載

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強烈な決別宣言

 夫人は続ける。

「日記にはこう書いてあったんです。“その時が来ても僕は教祖には付いていかない”“来世は弟子になることはないだろう”“尊師は悟っていなかった”“僕は今、尊師と決別した”」

 その文字を見ると、乱れることなく強い筆致で記されているのが感じ取れる。

「(麻原に)教祖たる資質があるかないかと言えば、取るに足らない」「オウムの創業者としての力は本物だが、思いつきが多く、自制心が足りない」「自己顕示欲が強いところが問題である」

 そしてこうも続いていた。

「教祖の霊性は訓練できるレベルよりは上であった。しかし、今同じ人が現れてもあそこまで人は集まらないだろう」「あくまでグルという存在は(信仰の)補佐であり、インストラクター的存在である。しかし、(麻原は)絶対的存在になってしまった」「神秘体験は教祖がきっかけだった。でも、帰依する必要はない」――。強烈な決別宣言である。

「松本家についても同じでした。“もう何の意味もない”“教祖自身が本物ではなかった。松本家を信仰すること自体がバカバカしい”そして最後には“僕は教祖に対してもう背を向けている”“違う方向を向いている”とはっきりと書いてあったんです。後になって考えればですが、生前の夫にはその予兆がありました。執行される7月に入った頃だったかな、会話の中で私が教祖のことをこれまで通り“尊師”と言うと、夫はボソッと“あぁ麻原ね”と。面会は20分しかありませんから、深くは聞きませんでしたが、これまで一度もなかったことなので“えっ”と思った記憶があります。教祖と同じ日に執行されるだろうとは言い続けていましたが、突然、“一緒には逝かないよ。死んだら君の傍にいる”と。私を気遣って言ってくれているのかと思っていましたが、日記を見ると本心だったんですね。松本家についても“もうどうでもいい”と。裁判を乱発しているファミリーについても“バカじゃないのか”と言っていました」

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