「グリコ・森永事件」元捜査員が語った27年後の新事実

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 グリコ・森永事件の捜査現場で「キツネ目の男」を目撃したのは、大阪府警捜査1課特殊班所属の通称「F担」の7人だけではなかった。事件から27年が経過した頃、NHKスペシャル「未解決事件 グリコ・森永事件」が発掘した新事実。それについて、F担の一人に改めて聞くと……。

 1984年(昭和59年)3月18日、「江崎グリコ」社長だった江崎勝久氏が3人組の男に誘拐されるも、監禁場所の倉庫から自力で脱出。「かい人21面相」を名乗る犯人は、食品会社を次々と脅迫し、《どくいり きけん たべたら 死ぬで》と書かれた青酸入りの菓子をスーパーなどにばら撒いた――。昭和の世を騒然とさせた〈警察庁広域重要指定114号「グリコ・森永事件」〉の完全時効が成立したのは2000年の2月13日午前0時。

“その時”を、江崎氏が監禁された倉庫で迎えたというF担の一人は、

「退職してしばらくの間は夢の中にまで“F”が出てきましたが、時間が経つにつれて思い出すことも少なくなりました」

 と、語る。ちなみに“F”とは、英語でキツネを意味するFOXの頭文字で、捜査員は「キツネ目の男」のことをそう呼んだ。“F”が捜査員の前に姿を現したのは、2回。このF担は7人の中で唯一、2回目撃しているが、

「心残りはありません。やれることはやったつもりです。もちろん、2度目に目撃した際、“F”に職質をかけていれば、という思いはありますが、それは結果論。当時の捜査では、現金授受の現場を押さえることが大前提でした」

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