元農水次官の息子殺害事件、同じような“子殺し”裁判では執行猶予付き判決も多数

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「俺の人生は何なんだ」と叫んだ長男

 元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)が、長男の英一郎さん(44)を刺殺した事件は、6月1日の午後3時半ごろに発生した。

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 息子を殺した熊沢容疑者が自ら110番通報した。新聞各社は2日の朝刊から報道を開始したが、当初は「元農水次官」という肩書に注目した記事が多かった。

 しかし翌3日、朝日新聞は朝刊に「事件前『長男を注意』 元農水次官『家庭内暴力も』供述」の記事を掲載した。

《熊沢容疑者が警視庁の調べに対し、「長男は引きこもりがちで、家庭内で暴力を振るうこともあった」という趣旨の供述をしていることが同庁への取材でわかった》

 ここで「引きこもり」と「家庭内暴力」というキーワードに注目が集まる。同日の夕刊で朝日は「川崎事件よぎり長男殺害か 子ども被害、危惧 容疑の元次官供述」と報じた。

《この日は朝から隣接する区立小学校で運動会が開かれていた。熊沢容疑者は「運動会の音がうるさい」と言う英一郎さんを注意。英一郎さんが不機嫌になるのを見て、「怒りの矛先が子どもに向いてはいけない」と感じたといい、数時間後に殺害したとされる》

 熊沢容疑者は「殺さねば殺されていた」と供述するほど追い詰められていたという。5月28日に起きた川崎20人殺傷事件は当然ながら大きな動揺を与えたに違いない。

 英一郎さんは中高一貫の名門私立校に合格するも、中2頃から家庭で暴力を振るうようになった。その後は専門学校や大学などを卒業し、両親と別居していた時期もあったが、朝日新聞によると自ら望んで5月25日に実家へ戻ったという。

 実家ではゲームに没頭。そして翌26日には熊沢容疑者へ「俺の人生は何なんだ」と叫びながら暴行を振るった。熊沢容疑者は妻に「次に暴力を振るわれたら、長男に危害を加える」と明かした。そして事件当日、台所で熊沢容疑者は英一郎さんから暴行を受けたという。凶器は自宅の包丁だった。

 少なくともネット上では、熊沢容疑者に同情的な意見はかなりの数にのぼる。実際、過去の判例を調べてみると、子供を殺めた親に執行猶予の判決が下ったのは、決して珍しいことではない。具体的に見てみよう。

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