「Qちゃん」「野口みずき」が懐かしい…女子マラソン不振の深層

スポーツ週刊新潮 2019年3月21日号掲載

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 設楽(したら)悠太(27)、大迫傑(すぐる)(27)と日本記録更新が相次ぎ活況を呈する男子マラソン界。一方で、“Qちゃん”こと高橋尚子や野口みずきが一時代を築いた女子マラソンは沈滞している。

 東京五輪代表選考レース「MGC」の出場権をかけた最後の大会「名古屋ウィメンズマラソン」が3月10日に開催された。今レースでリオ五輪代表・福士加代子(36)ら5人が駆け込みで“合格”したが、出場有資格者は計14人。30人が資格を得ている男子と比べると寂しい限りだ。

 大手紙陸上担当記者曰く、

「MGCという制度がなかったリオ五輪代表選考時の各レースの結果を、今回のMGC出場基準に当てはめると、男子は15人、女子は12人が“合格”でした。つまりここ4年で、男子は飛躍的に向上しましたが、女子は横ばいなのです」

 なぜ男女の勢いは逆転したのか。

「ある時期から“アフリカ勢に勝つには、走り込みではなくスピード練習が大事”という考えが指導者に浸透したのです。それ以降、月に千キロ走り込んでいた高橋のような選手がいなくなり、日本マラソン界は男女とも長いトンネルに入ってしまいました」

 と語るのは、元中日新聞編集委員でスポーツジャーナリストの満薗文博氏。

「ただ、瀬古利彦さん(日本陸連強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)は一貫して“走り込み”の重要性を説き続けた。それが男子マラソン界の若手指導者に段々と浸透し、原点回帰、つまり“走り込み”が見直されるようになったのです」

 たとえば大迫は月千キロ走るというし、昨年12月の福岡国際で14年ぶりに日本人Vを果たした服部勇馬(25)も、走り込みを増やして飛躍した。

「結局、昔の人の方法が理にかなっていたということですね。女子では、Qちゃんを育てた小出義雄さんが瀬古さんと同じことを言い続けています。その結果、女子の世界でも変化が現れ、最近は“もっと走りたい”“走らせたい”という選手や監督の声が聞かれるようになってきました」(同)

 MGCが行われるのは半年後、9月15日である。