「応援上映」「絶叫上映」… 参加型の映画鑑賞はなぜウケる?

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ロングランの陰に応援上映あり

「応援上映」は日本特有の“文化”で、海外では観客が自然発生的に踊ったり、声を上げたりするため、わざわざ特別上映を設けることは珍しい。そんな日本の応援上映はもともとファンの有志が始め、いまも多くはボランティアによって主催運営されており、現在まで観客のニーズに基づいて発展してきた――と江戸木氏は解説する。

 日本では1998年公開のインドの娯楽映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」でもファンが自主的にインドの映画館の盛り上がりを日本で再現しようと、上映中の歌ったり踊ったりをOKとする「マサラ上映」を企画したこともあったという。今日の応援上映に近いスタイルだが、「今のように頻繁には行われなかった」と江戸木氏。

 つまり、2000年以前にも今に通じる参加型映画鑑賞は行われたものの、根付かなかったということになる。それがなぜ最近になり、流行り始めたのだろうか。その発端となった作品について、こう分析する。

「15年に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開されたとき、ファンの有志が絶叫上映を企画して映画ファンの間では話題になりました。しかし、これはあくまでコアなファン向けの取り組みに過ぎませんでした。より一般的になったのは17年末公開のインド映画『バーフバリ 王の凱旋』からではないでしょうか」

 戦士バーフバリの活躍を描く「バーフバリ 王の凱旋」は、インド国内外での興行収入が140億ルピー(およそ250億円)を記録した大ヒット作で、これはかの国歴代1位の数字であるという。前作の「バーフバリ 伝説誕生」につづくシリーズである本作には、江戸木氏も「宣伝隊長」として上映に関わっている。

「ミュージカル要素が多いインド映画は日本人でも乗りやすく、また定期的にマサラ上映などを行っていたため、多くの人に広まったんだと思います。『バーフバリ』2部作はいまだにロングラン上映しています。これは圧倒的な映画の力もありますが、絶叫上映のリピーターも多いからで、参加型映画鑑賞は間違いなくロングラン化に影響しています」

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