「シン・ゴジラ」ヒットで“誘致活動”が活発化? 過去作にみる「わが町を破壊して」の声

企業・業界 2016年8月16日掲載

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■宮崎駿ものけ反った『ゴジラ』

 公開直後から絶賛の声があがっている『シン・ゴジラ』(庵野秀明総監督・東宝系)。興業的にも成功を収めていることから、早くも続編を期待する声も飛び出しているようだが、その可能性はあるのだろうか。あるとすれば、どんな内容になるのか。

 もちろん現時点では続編はファンの夢に過ぎないだろうが、予想するにあたっては、オリジナルの『ゴジラ』(1954年公開 本多猪四郎監督/円谷英二特撮)の続編がどんなものだったのかを学習するのもいいかもしれない。

 日本SF大賞受賞者の長山靖生氏は、新刊『ゴジラとエヴァンゲリオン』で、『ゴジラ』と『エヴァンゲリオン』の歴史や関連を読み解いているが、その中に『ゴジラ』の続編についても紹介している。以下、同書の記述をもとに『ゴジラ』第1作の公開から続編の誕生までを見てみよう。

『シン・ゴジラ』公式サイトより

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 若き日の宮崎駿は『ゴジラ』第1作の公開直後の日曜日、弟を連れて渋谷東宝に出かけている。映画館は満員で、後ろから立ち見をしたのだが、山越しにゴジラが姿を現すシーンでは、館内を埋め尽くした大人の観客たちが揃ってグワッと後ろにのけ反り、波のように見えたという(池田憲章『ゴジラ99の真実』)。それほど衝撃的な場面だった。

 この『ゴジラ』公開時の観客動員数は961万人。

 この大ヒットを受けて、東宝の製作部長・森岩雄は直ちに続編を作るよう田中友幸プロデューサーに指示した。

 田中は既に香山滋原作『獣人雪男』に取り掛かっていたが、続編に着手した。

 しかし第1作の本多猪四郎監督がその『獣人雪男』の準備に入っていたので、2作目の監督は小田基義が務めることになった。小田は早稲田大学出身で、喜劇を得意とし、この頃はトニー谷主演の『家庭の事情』シリーズなどを撮っていたが、横溝正史原作の『幽霊男』、変身人間シリーズ第1作となる『透明人間』など、特撮モノも撮っていた。

 この変身人間シリーズは、後の『怪奇大作戦』や遠くは『エヴァ』にも影響を与えている。

 1955年に公開された『ゴジラの逆襲』のあらすじは次のようなものだ。

 パイロットの月岡は四国沖にある岩戸島に不時着した同僚・小林の救助に向かうが、そこでふたりは激しく争う2頭の怪獣を目撃する。

 一方はゴジラ。もう一方はアンギラスだった。

 やがてゴジラ、アンギラスは大阪湾から上陸。両怪獣の戦いで、大阪城も破壊されてしまう。その後、アンギラスに勝ったゴジラは大阪の街を炎上させながら海へと帰る。

 その後、北上したゴジラを月岡と小林が迎え撃つ。2人は大学の同期で元戦闘機乗り。北海道で航空防衛隊員になっている旧戦友らと共にゴジラに立ち向かい、遂にゴジラに勝利する……。

■「ウチにゴジラを」

 第1作と異なるのは、ゴジラに対する日本人の勝利が明確に打ち出されている。戦うのは旧日本軍の生き残りだ。

 そして、舞台も東京から大阪、北海道へと移っている。

 これは、東京を2度も壊滅させるのが忍びなかったからではない。

 実は続編に着手する際に「次は大阪を舞台に」ということは前提になっていた。というのも第1作があまりにヒットしたため、関西方面の映画館からの「東京の次は、ぜひゴジラを大阪に」という熱い要望が東宝に寄せられていたのである。

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 最近では「ポケモンGO」あたりでも見られる、人気キャラの誘致運動は、この頃からあったのである。どうかわが町を破壊してください、というわけだ。

 長山氏は同書で、『ゴジラ』と『エヴァンゲリオン』は共に「反復」「再生」を繰り返す神話だ、と見立てている。

 現在のヒットぶりを見ていると、「誘致運動」が再燃することもあるかもしれない。各地のファンたちは、「ウチにゴジラを」と今から手を挙げる用意をしてみてはどうだろうか。

デイリー新潮編集部