神学の大家「東洋英和女学院長」に浮上、神をも恐れぬ“論文でっちあげ”騒動

国内 社会 週刊新潮 2018年10月25日号掲載

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 これぞ「神業」なのか――。ミッション系のお嬢様学校として知られる東洋英和女学院のトップである深井智朗院長(53)の論文に、引用元の人物が見当たらないという「でっちあげ」疑惑が浮上。「告発者」が深井氏の非を指摘すれば、彼がそれをかわすという論争が繰り広げられているのだ。以下は、神のみぞ真相を知る神学界の不思議な騒動。

 テレビ朝日の武内絵美、日本テレビの笹崎里菜。近年では女子アナ輩出校の感も漂う東洋英和の売りは、何と言ってもプロテスタントの信仰を土台とした人格陶冶(とうや)にある。その精神を体現しているのが深井院長だ。6月には彼の著書、その名も『プロテスタンティズム』が評価され、第19回「読売・吉野作造賞」を受賞している。だが、

「深井先生の書籍および論考に関し、問題だと感じている部分が2点あります」

 こう指摘するのは北海学園大学准教授(ドイツ宗教思想史)の小柳敦史氏だ。その問題点は、9月25日発行の神学年報「日本の神学57」に概要が載ったことで表面化した。改めて小柳氏に説明してもらうと、

「1点目は、深井先生の著書『ヴァイマールの聖なる政治的精神―ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム』に、創作、敢(あ)えて申し上げれば捏造に相当する疑いがあるということ。彼はカール・レーフラーなる人物が書いた『今日の神学にとってのニーチェ』という論文に依拠して、当該書の第4章4節を展開していますが、カール・レーフラーなる人物も『今日の……』という論文の存在も確認できないのです」

 続けて2点目は、

「深井先生が雑誌『図書』の2015年8月号に寄稿した『エルンスト・トレルチの家計簿』という論考で、彼が依拠した資料が存在しているか疑わしいこと。その論考を読むと、深井先生はあたかもドイツにあるトレルチ資料室の管理責任者から資料を入手したように書いていますが、私が確認したところ、そうした事実はなかったのです」

 とどのつまり、あろうことか神学の権威の著書等に複数の出所不明の情報が載っていたというのである。

 何てことだ、オーマイゴッド!

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