今も病魔と闘う「長嶋茂雄」 リハビリ取材歴14年のジャーナリストが気づいていた“ある異変”

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「長嶋茂雄」緊迫の特別病室(上)

 御年82歳の“ミスター・プロ野球”「長嶋茂雄」は、他に比肩する者がいないほど大きな存在である。特に、一定の世代以上の人々にとっては沈むことのない太陽のような存在であり、彼に憧れて野球を始めた少年は数知れず。そうでなくとも、長嶋茂雄という物語は数多(あまた)の人の中に取り込まれて血肉となっているはずだ。プロ野球史上初の天覧試合で放ったサヨナラホームラン。巨人の監督時代に11・5ゲーム差をひっくり返して優勝した「メークドラマ」。そして、脳梗塞からの奇跡の復活。ミスターの足跡はファンだけではなく、多くの国民に物語として共有されており、各々の人生に組み込まれている。2013年には松井秀喜と共に国民栄誉賞を受賞しているが、これは「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったもの」の栄誉を讃える賞である。まさしくミスターにこそ相応しい賞なのだ。

 そんな国民的英雄が目下、危機に見舞われている。04年に脳梗塞で倒れてから14年余り。厳しいリハビリを続け、2年後に迫った東京五輪に何らかの形で関わる夢を抱いていたというミスターだったが、ここへきて都内の大学病院に再入院してしまったのだ。

 果たして、現在の病状は如何なるものなのか。家族のバックアップ態勢はきちんと確立されているのか――。ファンのみならず、多くの国民が心配する事態となっているのである。

 ミスター再入院の事実を最初に報じたのは「女性セブン」(8月23日、30日号)である。記事によると、ミスターは胆囊内に胆汁が石化した胆石が出来ており、肌や目が黄色くなる黄疸の症状も見られる。7月に病院に運び込まれたが、病状は一進一退を繰り返しているという。

 ミスターが球団を通じてコメントを出したのは、「女性セブン」が発売される前日の8月8日。

〈大変ご心配をお掛けしました。おかげさまで回復しています。いまは静養に努めながら、昼は高校野球、夜は巨人戦をテレビ観戦しています〉

 翌日の新聞各紙はこのコメントを紹介すると共に、

〈球団を通じた家族の説明によると、7月初旬、体調がすぐれなかったため、大事をとって入院したところ、検査で胆石が見つかった。体力が落ちた時期はあったが、現在は食事もふつうにとっているという〉(読売新聞朝刊)

 などと伝えた。

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