今も病魔と闘う「長嶋茂雄」 リハビリ取材歴14年のジャーナリストが気づいていた“ある異変”

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ミスターの“異変”

 実は、ミスターの“異変”に早くから気付いていた人物がいる。スポーツニッポンの元記者でスポーツジャーナリストの吉見健明氏。ミスターが倒れた04年以降、実に14年にわたって毎朝のリハビリ現場に通い詰めている人物だ。

 吉見氏によると、ミスターの朝のリハビリには元々、決まったルーティーンがあったという。火曜日から金曜日は都内の国立公園に朝7時45分に到着し、運転手と介護士に伴われて園内を1周する。土曜日は付き添いの介護士が1人増え、ハードなトレーニングも行う。日曜日は休みで、月曜日は国立公園が定休日のため、田園調布の自宅からほど近い多摩川沿いの公園でリハビリを行う。ところが、

「去年の春くらいから、だんだんリハビリのルーティーンが崩れ出した」

 と、吉見氏は言う。

「国立公園に行かず、自宅周辺を歩くだけでリハビリを済ませる日が出てきたのです。また、歩いている最中に10秒ほど、立ち止まって背中を丸めてうつむいたりする姿を見かけるようにもなりました」

 吉見氏がミスターのリハビリ姿を最後に目撃したのは、6月30日。

「土曜日だったので、先頭に立つ女性介護士が『イッチニッ、イッチニッ』と掛け声を出しながら進み、その後を男性介護士が後ろ向きになって長嶋さんに声をかけながら歩くんですが、この日はその男性介護士の肩を借りて……というか抱きかかえられるようにして歩いていました」(同)

 ミスターの入院先が都内の大学病院であることにはすでに触れたが、それは脳梗塞の時に入院した東京女子医大病院とは別の病院で、

「長嶋さんは上層階にある特別な病室に入院されていると聞きました。最も高い特別病室の料金は1日十数万円で、付き添いの人間が泊まり込むことが出来る別室もついています。長嶋さんは脳梗塞で倒れた後、東京・渋谷区にある『初台リハビリテーション病院』に通っていましたが、7、8年前からはこの大学病院でもリハビリ治療を受けていたのです」(医療関係者)

(下)へつづく

週刊新潮 2018年8月30日号掲載

特集「黄疸50日『長嶋茂雄』 緊迫の特別病室」より

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