サンマは早くも初競り “一尾7万円”を出した「寿司屋」語る

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〈さんま、さんま、さんま苦いか塩っぱいか〉

 佐藤春夫の詩にもあるように、昔からサンマは庶民の食卓に似合う魚だった。だが、最近は高級魚の扱いになることもある。

「台湾船の乱獲に加えて、三陸沖にやってくるサンマの数(来遊量)が、減っているのです。今年も史上最低だった去年より少ないとの予測から、初物にはプレミアム価格が付くと見られていました」(市場関係者)

 それもあってか、7月11日、札幌の中央卸売市場で行われたサンマの初競りで、付いた値段が何と1キロあたり50万円! 今年の築地の初競りで大間産マグロが1キロあたり9万円だったから、それをはるかに上回る値段である。一尾あたりにすると7万円。

 競り落としたのは、札幌市中央区の「活一鮮」という回転寿司店だ。

 同店代表の佐藤巌氏が言う。

「サンマは品質が良い順番に競りに出されます。うちが落としたのは、1番手と2番手、それに3番手のサンマ。そのうち、最も高い1番手が“1キロあたり50万円“となったのです。もっとも、1箱に入っているのは5〜8尾。買うことが出来たのは、全部で21尾でした」

 同店は、昨年も初競りで1番手を競り落としているが、その時は1キロあたり40万円。今年はさらに競争が激しくなるとみて、思い切って50万円で勝負したのだという。

 落札されたサンマは、さっそく当日のランチと夜に「握り」として出された。1尾から握れるのは6貫だけだが、値段は特別価格の888円(普段は2貫で290円)。

「売り上げにすると約11万円です。当然、利益は出ませんが、これに15万円を足して、西日本豪雨の災害義捐金にさせてもらいました」(佐藤氏)

“プレミアムサンマ“は、しっかり話題をさらって、客の胃袋に消えていったのである。

週刊新潮 2018年7月26日号掲載

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