「肺がん」治療法を提案、「子宮頸がん」「乳がん」への取り組みも AIが切り拓くがん治療の最先端

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「乳がん」への取り組み

 女性を悩ませるもうひとつの疫病神が「乳がん」だ。

 昨年9月、厚労省が発表した最新の人口動態統計によれば、30歳から64歳までの死亡原因のトップだが、実は誤診も頻発している。

 乳がん検診を分析した国立がん研究センターによれば、受診者1000人のうち「陽性」判定が出たのは76人なのに、最終的な精密検査でクロだったのは、たった3人だった。

 東北大学大学院医学系研究科の山口拓洋教授が言う。

「患者に多い40代女性の乳房は、乳腺が発達しているため従来のマンモグラフィー検診では判別が困難で、発見が遅れることがままありました。そこで、エコーといわれる超音波検査を併用すると、検診の感度が14・1%上がることが、世界的な医学雑誌『ランセット』で公表されたのです」

 けれど、感度が上がると誤って陽性と判定されることがある。そのため、身体に針を刺すなど負荷のある精密検査を受けた患者が増えてしまったのだ。

「不必要な検査を減らすため、私たちはエコー画像の読影にAIを使うことにしました。医師の誤読を減らして患者さんへの偽陽性による無用な侵襲的検査や、それに伴う心理的負担を減らしたい。4月に発表したのでテスト段階ですが、今年度中に結果を示すのが目標です」(同)

 実用化が待たれるところだが、ひと足早く研究に取り組んだ国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、すでに乳がんを9割近い確率で自動検出できるAIを開発したのである。

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