都心の「3畳ワンルーム」で年商30億円 不動産会社の社長は31歳

企業・業界2018年6月1日掲載

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新宿のワンルームからヒントを得る

「東京に来て、不動産市場の盛り上がり驚きました。東京支店のホームページを作っただけで、月に100件以上も問い合わせが来たんです。福岡本社や名古屋支店で新規開拓に苦労したのが嘘のようでした。当然ながら富裕層も桁違いに多く、皆さん資金運用の必要性に迫られていました。良心的な仕事が可能な環境が整っていたんです」(仲摩社長)

 毎日走り回っていたが、ある時、会社と意見が割れた。さるオーナーのローン借り換えに注力したいとする仲摩氏に対し、会社側は「新規案件の開拓を急げ」と厳命。意見の相違を超え、経営哲学の違いが浮き彫りになっていく。

「どうしても意見を曲げたくなかったので、退職しました。『元不動産業者』としてオーナーのローン借り換えをまとめると、そのオーナーさんに『資金を出すから、自分で不動産会社を経営してみなさい』と声をかけてもらったんです」

 さっそく新宿にオフィスを借り、会社設立の準備に入る。当時の仲摩氏は八王子に住んでいたが、想像以上の忙しさだった。始発で帰宅し、シャワーを浴び、すぐに新宿に帰るという日々だった。

「弟と一緒に会社を立ち上げようとしていたのですが、彼は帰宅さえできず、事務所に寝袋で寝ていました。これでは身体を壊すと、ワンルームを探したんです。ところが新宿は『家賃5万円、築30年以上で風呂なし』という物件か、『風呂トイレつき、20平米で家賃10万円以上』という物件かという両極端な状況です。風呂トイレつきで、最も安くて狭い部屋を借りました。しかし私も弟も、プロの視線で見て、『もっと狭くして、もっと家賃を下げても、さらに快適な部屋を作ることは可能だ』というヒントを得ました」(仲摩社長)

都心の一等地にこだわる理由

 そして時代はアベノミクスに突入していく。地価だけでなく、建設コストも上昇していく。不動産業者にとっては逆風だが、これを仲摩氏は「極小ワンルーム」のチャンスが到来したと読む。

「単純化しますと、1億円で計画した新築アパートの建設費が、コストの上昇で2億円に膨れあがりました。上昇分をオーナーさまに負担していただくのは簡単ですが、会社の方針として、それはしませんでした。苦しかったですが、オーナー様との約束、当初の利回りを守るために、追加費用をいただかず、物件を完成させました。その後も地価や建設コストが共に上昇し続ける事は分かっていました。その状況下でも、『収益性が高い物件を提供できる方法』を模索し続け、『部屋の面積を小さくして、部屋数を2倍すれば解決できる』という結論を得ました。これがQUQURIの原点です」(仲摩社長)

 部屋は狭くとも、例えば天井は可能な限り高くした。ロフトの快適性が増し、日当たりが良くなった。このような工夫は随所にあるという。廊下の幅や、玄関周りなど、ミリ単位の精密さで計算している。

 好景気になるほど、不動産業界の不祥事も増える。前回のバブル景気が代表例だ。個人情報を入手した不動産業者からの電話に悩まされている読者も多いだろう。「かぼちゃの馬車」でオーナーを破綻に追い込んでいるスマートデイズ社(旧・スマートライフ社)の問題も現在、大きく報じられている。

 だがスピリタスが極小ワンルームのアパートを建設するのは、都心の一等地だけだ。そうすることで、ビジネスの“質”を保証しているという。

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