都心の「3畳ワンルーム」で年商30億円 不動産会社の社長は31歳

企業・業界2018年6月1日掲載

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大学を中退し「ブラブラしていた」社長

 社会状況も追い風となっている。例えば総務省は今年(18年)1月、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は転入者が転出者を上回る「転入超過」が約12万人に達し、東京圏の転入超過は22年連続と発表した。

 時事通信によると、総務省の担当者は「転入者の大半を15歳から29歳の若年層が占める」と指摘したという(「東京圏、22年連続転入超過=11.9万人、続く若者集中-17年人口移動・総務省」1月29日電子版)。つまり若者が出身地を離れて上京する傾向は依然として活発なのだ。

 そして若者は「職住近接」の指向が強いとされる。さらに「断捨離」や「ミニマリスト」というモノを持たないライフスタイルを支持する層も多い。こうしたことを背景に、スピリタスは「倍々ゲーム」と形容しても大げさではない急成長を遂げているわけだ。

 先に社長の仲摩氏が31歳だと聞いて、驚いた方も多いだろう。仲摩氏は大分県生まれ。高校を卒業し、福岡市の私立大学に入学するも、すぐに退学してしまった。

「2年ぐらいは福岡でブラブラしていました。それでも世の中の動きみたいなものを見ているうちに、不動産市場が盛り上がっていることに気づいたんです。就職するなら不動産業者だと考え、福岡市に本社があった会社の説明会に参加すると『ゆくゆくは全国展開し、地方の支店は分社化します。皆さんには分社の社長を目指してほしい』と呼びかけられて、『これは面白い』と入社を決めました」(仲摩社長)

入社2週間目でマンション1棟を販売

 01年に小泉純一郎氏(76)が首相に就任し、02年から「いざなみ景気」が始まる。03年に六本木ヒルズが完成。04年には堀江貴文氏(42)の率いた旧ライブドア社が大阪近鉄バファローズの買収に名乗りを上げ、大きな注目を集めた。

 好景気になると不動産業界は活況を呈する。新入社員は午前9時出社と定められていたが、1か月後には午前6時に出社しなければならないほど忙しかった。

 しかし厳しい業界だ。単価が極めて高く、1件でも物件を売れば、それなりの営業成績を達成できる。とはいえ売れることが少ない。中堅でも辞めていく社員は多い。まして新人は苦労して当然なのだが、仲摩氏は入社2週間目でマンション1棟を売る。

「なぜか、その後も着実に物件を販売できていました。ところが07年末から始まったサブプライム住宅ローン危機、08年にリーマンショックが起き、物件がほとんど動かなくなりました。私は働き続けたかったので、社の上層部に『会社が持ち直したら、再び雇ってください』と依頼しました。すると『フルコミッション(完全歩合制)でよければ今でも契約する』と打診され、承諾しました」(仲摩社長)

 夢中になって働くうち、会社の経営も回復していく。仲摩氏は08年に名古屋支店、09年には東京支店の立ち上げに参加した。

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