修繕費用は110億円超… 金食い虫「タワマン」のスラム化懸念、その対策例

社会 週刊新潮 2018年5月17日号掲載

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値上げの成功例

 これでは、修繕積立金の値上げがうまくいくはずもなかろう。はたして「夢の住まい」から転落せずに済む方法はあるのか。ここは積立金の値上げに成功した奇特なケースを覗きたい。

「09年に完成した私たちのマンションは13年、築5年のときに長期修繕計画を修正し、タワマンでは恐らく初めて、50年の均等積立方式に変えました」

 そう言うのは、神奈川県川崎市に建つパークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー管理組合法人理事の志村仁氏。タワマンがいかに金食い虫か。志村氏の話から如実にわかる。

「小規模なマンションでは修繕工事費の9割が外壁補修ですが、うちでは1割ほど。タワマンでは圧倒的に設備修繕に費用がかかります。うちは外壁補修は十数億円でできるのに対し、ポンプやエレベーター、給排水管の交換などには70億円近くかかってしまいます」

 ケタが違うのだ。

「最初の30年は、毎年の平均支出額が1・9億円ですが、31年目からは2・5億円もかかり、50年全体でかかる費用は計画上で110億円を超えます。そこで分譲当初は1平方メートル当たり85円だった積立金を、5年目に均等積立に移行して同230円にまで引き上げました。段階増額方式だと値上げのたびに総会で決議にかけ、過半数の賛成を得なければならず、住民の反対で予定通り値上げできないリスクも伴うからです。結果、1戸平均で月6000円が1万7000円ほどになって、管理費など諸々含め、月に4万円ほど支払っている住戸が多いですね」

 居住者に納得してもらうために、住民説明会を10回行い、「ミッドスカイタワーは50年安心、という評価を市場に定着させる」など、説明を繰り返したという。それに加えて、

「築5年だったからスムーズに均等積立に移行できたのだと思います。10年、20年経っての値上げは、高額になるので反対意見が出やすく、退去者が一気に出る可能性も。タワマンで築10年を超えているのに、積立金が1平方メートル当たり100円を切っていると、かなり深刻だと思います」

 逆に言えば、こうした手を打てていないタワマンは、先行きがはなはだ不安だということだ。

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