夢の「タワマン」からまっ逆さま… 住民から“修繕費が足りない”の悲鳴が上がるワケ

社会週刊新潮 2018年5月17日号掲載

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ディベロッパーの“カネのなる木”

 この住人の不安が決して例外ではないことは追い追い示すが、その前にタワマンとはなんたるかを確認しておきたい。まずタワマンという語についてだが、

「法的な定義はなく、高さ60メートル以上、概ね20階建て以上のマンションをタワーマンションと考えることが多い。高さが60メートルを超えると、構造耐力上の安全性を確認するため、コンピューターによるシミュレーションで地震波などによる揺れを、より緻密に検証することが求められます」

 と、さくら事務所のマンション管理コンサルタント、土屋輝之氏。だから、低層のマンションのほうが建てやすいのだが、

「不動産ビジネスの観点から考えると、背の低いマンションにするなんてありえません。土地当たりの収益を高めるには当然、高層のほうがいい」

 そう語る土屋氏が記憶するかぎりでは、

「最も古いタワマンは、いまのさいたま市に1976年に竣工した、21階建て463戸の与野ハウス」

 だというが、それが急増したのは90年代後半だった。住宅ジャーナリストの榊淳司氏によれば、

「97年の建築基準法改正で容積率、つまり敷地面積に対する延べ床面積の割合の上限が緩和され、建物を上に伸ばすことができるようになった。加えて日影規制も緩和され、まず中央区佃あたりに“タワマン村”が出現。埼玉県川口市も初期のころから多いです」

 CIP一級建築士事務所の須藤桂一代表が継いで説明するには、

「2002年7月にも、建築基準法の改正でマンション等の容積率が緩和できる制度が新設され、狭い土地にますます高層マンションを作るようになりました」

 一般にタワマンは「夢の住まい」と認識されているらしい。しかし、マンションが上へ上へと伸びていったのは「夢」のためではなく、平たく言えば、さる不動産会社社長が次のように説明する通りである。

「タワマンが乱立した理由は、ディベロッパーが儲かるからに尽きます。規制緩和のおかげで、狭い土地に多くの居住者を押し込めるようになったうえ、同じような間取りが30階、40階まで続けば、材料費も大量の仕入れで安くなる。とにかくコストパフォーマンスが高いのです」

 ところが、ディベロッパーは“カネのなる木”の植えつけに夢中で、修繕のことまで考えていなかったようで……。

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