記者を「あんた」呼ばわりする男 麻生財務相は なぜ人を不快にさせるのか

政治2018年5月15日掲載

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2人称と年功序列の意外な関係

「麻生大臣の『あんた』は論外ですが、『あなた』や『君』という言葉なら、昭和から、ぎりぎり平成の初期までは、ビジネスの世界でも普通に使われていました。福田康夫さんや石原慎太郎さんの2人称に違和感がない理由でもあります。いわゆる日本型経営の全盛期、多くの会社は終身雇用でした。上司は自動的に年上で、人生の先輩だったわけです。そのため年下の部下を『あなた』とか『君』と呼んでも何の問題もありませんでした。発注元の社員が年上なら、発注先の外部社員に対しても、『あなた』とか『君』という2人称を使ったわけです」(前川氏)

 だが2000年代に入ると、日本の職場環境でも「ダイバーシティ(多様性)」が高まってくる。日本を代表するリーディングカンパニーであっても「年功序列によるヒエラルキーを背負う正社員」だけで仕事をすることは少なくなってきた。

 あるプロジェクトのためにチームを作ったとして、メンバーは自社の正社員だけではない。例えば、子会社など関連企業の社員も参加する。サポートを依頼したコンサルタント会社の社員や、顧問法律事務所の弁護士、先輩や元上司が定年後に再雇用されてメンバーに加わる場合もある。資料作成や事務を担当するのは派遣社員だ。

 このように多用な顔ぶれが、一堂に会して仕事をすることが珍しくなくなってきた。例えば前川氏は、2011年、単行本『年上の部下とうまくつきあう9つのルール』(ダイヤモンド社)を上梓している。日本のオフィスから年功序列が消えつつあることが分かる。

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