モンテ・クリスト伯 初回視聴率5.1%でもディーン・フジオカの“変貌”に期待大

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 唐突ですが、まず結論から──。ワタシは次回も見ます、「モンテ・クリスト伯─華麗なる復讐─」(フジテレビ系)。

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 いや、始まったばかりなのにもう、世間じゃさんざんな言われようですよ、あのドラマ。まず、数字がひどかった。初回視聴率が5.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。以下同)ってのは、原発なら稼働初日に全電源喪失ってレベルですから。

 この数字を聞いてまず頭に浮かんだのは「セシルのもくろみ」。「モンクリ」と同じフジ系木曜10時枠で去年(2017年)の7〜9月期にやってたドラマですが、第1回の視聴率がやっぱり5.1%だったんでね。

「セシもく」は結局、全9話を垂れ流しての平均視聴率も4.5%とメルトダウン級で、フジテレビの凋落をダメ押し的に象徴する一作になっちゃったわけですが、そんなドラマと初回の数字が一緒というのは「モンクリ」にとって、不吉を通り越して不幸そのものという船出です。

 では、ドラマとしての出来はどうか。これもネット界隈にゃ不評が溢れてます。曰く、ディーン・フジオカは演技が相変わらず棒。曰く、舞台を19世紀のフランスから21世紀の日本に変えた脚本は無理が多い。曰く、で、なんで今、「平成巌窟王」なの? その他いろいろ。

演技の下方スパイラル

 こういう批評にワタシ、ほぼすべて同意します。まず「おディーンさま」こと「おディンくん」ことフジオカ(37)の芝居はやっぱり平坦、を通り越して下手。彼の演じる静岡のマグロ漁師が、遭難からの生還、船長への昇格、かわいい娘=山本美月(26)との結婚という幸福の絶頂から一転、無実の罪に落とされるまでを紹介するのが第1話だったんですが、その幸せなころの演技(未満の何か)が、ある意味、見ものでした。

 山本に求婚を受け入れられて「あっはっはっはっは」、婚約者になった山本とイチャついて「あっはっはっはっは」、風吹ジュン(65)演じる母親と山本につまらない冗談カマして「あっはっはっはっは」。フジに「連続ドラマ単独初主演!」と宣伝してもらったがゆえの多幸なのか、役柄は20代前半だとしても男フジオカ、齢37にして箸が転んでもおかしい状態。とにかく大笑い続きで、しかもそれがすべて空笑いに聞こえる、あの薄っぺらさは何なんだろう。

 そんな“役者”に芝居つけなきゃいけないディレクターには同情しますが、演出もモノ足りない。放映開始前にはワタシ、同じフジ系・東海テレビの名物だったドロッドロ愛憎劇の昼ドラ、ほら「真珠夫人」とか「新・愛の嵐」とか「牡丹と薔薇」とか、ああいうドラマに「モンクリ」はなるのかもしれないと勝手に予想してたんです。古臭い話を過剰なまでにキッチリ作り込むことで出てくる可笑しさを狙う戦術。

 が、始まってみれば脚本も演出も、想定外に真面目で、想定外にストレート。わかりやすさ優先で省略を避け、カット、シーン、エピソードをだらだら垂れ流すニッポンのTVドラマの悪癖とは距離を置いて、ちょっとセンスのいい省略が多い編集は悪くないんですが、話の古さとかフジオカの下手さとか、そういうマイナス要因を逆手に取って、それを売りにしようと狙うような演出は、少なくとも第1話では感じられませんでした。

 もったいないなぁと思ったのは、やっぱり芝居が不自由な関ジャニ∞・大倉忠義(32)とフジオカのカラみで、たとえば、売れない役者役の大倉がオーディションを控えて、フジオカが相手役にホン読みの練習をやるくだり。俳優志望の大倉が達者な芝居を見せる一方、マグロ漁師のフジオカはセリフ棒読みで、その対比で笑いを取る。そういうシーンであるはずなのに、実態は、上手を演じる大倉のセリフ読みが下手で、下手を演じるフジオカが輪をかけて下手という、下手が下手を呼ぶ下手の下方スパイラル。笑わせる下手ではなく笑われる下手になっちゃってた。

 劇中では関ジャニ大倉が地元の元先輩から大根呼ばわりされるシーンがあったりもするゆえ、少なくとも脚本レベルでは、彼らの下手で笑わせてやろうという意図が見てとれます。これで演出がもっと器用かつ柔軟だったら、大根役者の大倉が大根役者役という楽屋オチがもっと楽しめたはずで、ホントにもったいない。シリアスな復讐劇だからシリアスな演出というのが制作側の方針であるのなら、まずキャスティングからシリアスにやってもらわなきゃ。アミューズとジャニーズ、混ぜときゃなんとかなるでしょ、じゃ困るんです、コッチが。

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