モンテ・クリスト伯 初回視聴率5.1%でもディーン・フジオカの“変貌”に期待大

芸能2018年4月26日掲載

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脚本の手際はいいけど

 そして、脚本。山内義雄訳の岩波文庫版で全7巻という大長篇の原作のうち、主人公が罠にはまって無実の罪を負わされ、長い時を経て立ち戻ってくるまでを連ドラ初回の1話分に収めて、ついでに主な登場人物の紹介まで自然に済ませた脚本の黒岩勉(44)の手際は悪くない。

 ただ、ソツがないから納得度が高いというわけでもない。実はワタシ、今シーズンが始まる前、まだ予告編もロクに流れてない時点で4月スタートの連ドラについて予想するという無茶な企画を、この「デイリー新潮」でやらされまして、そこで「モンクリ」についてこんな霊言を吐いてました──。

〈フランスの文豪アレクサンドル・デュマ(1802~1870)が19世紀半ば、ナポレオンの時代を背景に書いた名作を、なぜ今? それも時間を現代に、舞台を日本に置き換えて? さらには、タイトルは「モンテ・クリスト伯」のままで?〉

〈だって、無理が山積みだもの、“冤罪により異国の地で15年もの投獄生活を送った主人公が、巨万の富を手に入れて母国に舞い戻り、自分を陥れた連中に復讐していく”なんて物語を、このICT(情報通信技術)とグローバリゼーションの時代に説得力ある商品に仕立てようなんて〉

 こういう課題、というより無理難題を、脚本家やプロデューサーはどう解いてみせてくれるのか。それが「モンクリ」の、個人的には最大の見どころなんですが、第1話に関するかぎり、頭に浮かんだ「!」の数は「?」を大きく下回りました。

 19世紀前半のフランスの不安定要因だった失脚後のナポレオン一党をイスラム系過激派(タリバンあたりがモデルか)に、当時エリートだった商船員をマグロ延縄漁船の船員に、そしてマルセイユを静岡に……といった置き換えの数々から漂ってくるのは、キツい言い方ながら、やっつけ仕事臭。フジは5年ほど前に深夜枠で『カラマーゾフの兄弟』をタイトルそのまま、現在ただいまのニッポンを舞台に翻案・ドラマ化したことがあったんだけれど、あのときは(「モンクリ」とはスタッフが違うけれど)もっとちゃんと仕事してた印象だったのに。

 冤罪のタネはタリバンでいいや。商船員はマグロ漁師でどう? そういう場当たり的に思える設定の結果として生まれた“マグロ漁師とタリバン”という取り合わせは、腹を壊しそうな食べ合わせに見えます。ハンバーガーを和食に仕立てるとき、パティを牛の煮込みに、バンズを白飯に置き換えれば牛丼になるけれど、パティを鯵の叩きに、バンズを最中(もなか)の皮に替えると、ゲテもの爆誕。昔NHKが草刈正雄(65)主演でやった『モンテ・クリスト伯』の時代劇版「日本岩窟王」が牛丼だったとすれば、今回のフジの「モンクリ」は鯵叩き最中、それも皮に「ハンバーガー」と型押しされてるナマグサ臭最中だわ。

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