原発を再稼働させない新潟県知事が招く「巨大なリスク」 首都圏が大停電に…

国内 社会 2018年03月07日

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使えない太陽光に血税を流した戦犯は誰か(下)

“数十年に1度”といわれる大寒波に見舞われた今年。暖房需要が異常なほどの高まりを見せたのを受け、東京電力は他社からの電力融通を受けて対処していた。一方、太陽光パネルに雪が積もり、発電できない事態も起きていた。

「そこを補うべく、揚水発電をフル稼働しましたが、そうすると翌日使う水がなくなって、他社からの融通が必要となりました。茨城県鹿島と福島県広野の二つの火力発電所が、トラブルで機能しなかった影響も大きかったです」(東京電力の広報室)

 これに北海道大学特任教授の奈良林直氏は、

「今回は電力融通によって事なきを得ましたが、もし停電していたら、病院の生命維持装置、手術、人工透析、保育器などがすべてストップしてしまいます。病院の予備電源は7、8時間分しかなく、停電がそれ以上続くと、人命に関わる事態になってしまいます」

 と指摘する。

「今回も仮にどこかの発電所が1カ所でも止まったり、送電線が切れてしまったりしたら、停電になっていた可能性は十分ある。それほど綱渡りの電力状況なのです。2003年に北米で起きた広域大停電は、送電会社のシステムダウンなどが原因で、ニューヨークからカナダ南東部にかけて約2日間、停電になりました。日本でも同様の、いや、もっとひどい事態にならないともかぎりません」

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 2012年の制度導入によって、電力会社には太陽光発電による電力の買い取りが義務づけられている。割高な太陽光発電のコストは賦課金の形で国民が支払うことになっており、固定価格買取制度の開始直後に684円だった年間負担額は膨れ上がり、現在は8232円。この制度はドイツをお手本にしたものだが、東京工業大学名誉教授の柏木孝夫氏によれば、

「ドイツでは原発を減らして再生可能エネルギーに注力した結果、すでに国民への賦課金が年間3万円ほどになっています。また、ドイツでも太陽光発電の脆弱性を不安視していて、電力供給の変動要素を減らすため、自家発電した分は、各家庭や企業で使い切ることを推奨しています」

 ドイツでは現在、総発電量における再生可能エネルギーの比率は33%だが、

「いずれも不安定で、バックアップとして火力発電を必要とし、再生可能エネルギーを増やすほど、二酸化炭素の排出が増えるというパラドックスに陥っています。日本でも東日本大震災後、原価が安いという理由で、火力発電に石炭を使う割合がジワジワ増えていますが、これはドイツが辿った道。石炭は炭素の塊ですから、二酸化炭素の排出が非常に多いのです」

 そう語る奈良林氏によれば、その先には行き詰まりしか見えてこない。

「先進国が軒並み二酸化炭素排出量を減らすなか、ドイツと日本でのみ排出量が増え、日本では報道されませんが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)で批判を浴びています。また、火力発電の主燃料である天然ガスは、2週間分しか備蓄できず、世界情勢によって石炭の輸入が止まれば、約2週間で火力発電所が止まってしまいます。エネルギーセキュリティの観点から非常に問題です」

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