誰も知らない「自衛隊」南スーダンPKOの最前線 タバコも酒ものむ“生身の隊員”報告

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誰も知らない「自衛隊」南スーダンPKOの最前線――笹幸恵(下)

 17年5月に撤収となった自衛隊の国連平和維持活動(PKO)南スーダン派遣で、第11次要員の任務は主要幹線道路などの補修・整備だった。たかが道路補修と侮るなかれ。移動時間の短縮や市民の生活にも影響を及ぼすこの作業では、現地の人々にも大いに喜ばれた。第11次要員の指揮官・田中仁朗(よしろう)1等陸佐(47)は、「現地の人が協力してくれることもありました」と語る。知られざる「生身の自衛隊員」報告である。

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 ジュバ~コダ間の道路を補修しているとき、「日本隊に協力したい」と地元の村長から申し出があった。村にはマラムと呼ばれる砂利の交じった赤土の採掘場があり、「我々のマラムを使ってくれ」というわけだ。その提供を有り難く受けた。また交通量が多い地域では、地元の警察が交通整理を買って出てくれたという。

「上から目線でも押し付けでもなく、同じ目線で一緒に何かをやるというのが日本の良さではないでしょうか。これは私が勝手に思っていることですが、だからこそ現地の人々が非常に喜んで受け入れてくれたような気がします」(田中1佐)

 自衛隊の施設活動のクオリティの高さは定評がある。国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)トップのデイビッド・シアラー事務総長特別代表も、陸上自衛隊の技術力を高く評価していた。

「第10次要員のときは、近くで活動していたバングラデシュの工兵隊が見学に来て、随分と仲良くなりました。支援を頼まれることもありましたね」(第10次要員の指揮官・中力(ちゅうりき)修1等陸佐(49))

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