誰も知らない「自衛隊」南スーダンPKOの最前線 タバコも酒ものむ“生身の隊員”報告

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ねぶたを披露

 酒を飲むことも許されていた。日本と変わらぬ「日常」がそこにはあった。しかし、さすがにジュバ・クライシス(※16年7月に起きた首都ジュバでの銃撃戦、詳しくは前回参照)に前後して飲酒は禁じられた。

「最初から飲ませていなければまた別ですが、途中で止めさせましたから、その期間は大変でしたね」

 と、中力1佐は笑いながら振り返った。

 第11次要員は陸自第9師団(青森)の隊員が中心だった。そこで食材をやりくりし、盛岡のじゃじゃ麺、八戸のせんべい汁など、東北地方の郷土料理をメニューに取り入れていたという。金曜日はカレーライス。海上自衛隊と同じである。曜日感覚を失わないためだ。

 PKOでは国同士の文化交流も行われていた。派遣国がそれぞれ記念日に合わせて開催するイベントだ。中国は雑技団並みのアクロバットを披露し、ルワンダやエチオピアは民族舞踊を踊った。

「第11次要員はミニチュアのねぶたを作って祭をやりました。ねぶたの周囲で踊る人を『跳人(はねと)』というんですが、各国の隊員にも一緒に踊ってもらいました」(田中1佐)

 茶道や書道といった特技を持つ隊員もおり、交流時には重宝した。現地の子供たちと空手の稽古をすることもあった。またラグビーや野球、バレーボールといったクラブ活動もあり、余暇には他国と親善試合も行った。隊員たちは作業を終えて帰営してからも、炎天下でさらに身体を動かしていたのである。

「仕事で流す汗とは違って、スポーツはリフレッシュになります。よその国の隊員からも、自衛隊は(宿営地で)本当によく走っていると驚かれました。別に命じてはいません。隊員は自発的に走ります」(同)

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