トランプ政権、北朝鮮への先制攻撃可能性は“50パーセント” そのとき我が国は

社会 2017年2月27日掲載

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トランプ大統領の世界戦略は(写真:Michael Vadon/Wikimedia Commons)

 就任から1カ月以上が経つ現在も、ドナルド・トランプ大統領の予測不能の言動は、世界中の注目を集め続けている。そんななか、北朝鮮は新型ミサイルを発射し、マレーシアでは金正男を暗殺、国際社会への対決姿勢をいっそう強めた。流動化する世界でこれからの日本の安全保障はどうあるべきか。3名の識者による緊急座談会から、その一部を紹介しよう。

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 今回、司会を務めたのは評論家で元衆議院議員の米田建三氏。対等な形での日米同盟の構築を不安視する米田氏は、米国のスタンスを考える上での、具体的な“懸念”の例を挙げる。

米田:一番端的なテーマはやはり北朝鮮の問題だろうと思います。既に日本全土が北の核ミサイルの射程距離内に入っているのですから。

永岩俊道(元航空自衛隊航空支援集団司令官・空将):日本にとって極めて大きな脅威になりつつあることは間違いありません。

香田洋二(元海上自衛隊自衛艦隊司令官・海将):アメリカまで届くミサイルに搭載する核兵器の小型化についてもかなり近い未来に実現するのではないかと聞こえてきています。

川上高司(拓殖大学海外事情研究所所長):注目すべきは、ペリー元国防長官の、北朝鮮と「核交渉」すべきだという発言です。ペリーというのはもともと北朝鮮を先制攻撃すべきだと言っていた人物です。アメリカは北朝鮮が核を持っていると認めず、交渉してこなかったのですが、ペリーがこうした発言をしたということは、裏を返せば、いま香田さんからお話があったように、北朝鮮がアメリカに届く核を持ちつつある、もしくは持ってしまったと考えているということ。

 そうすると、アメリカの日本に対する拡大抑止がなくなっていくのではないか。これは深刻な状況です。アメリカは交渉のテーブルにつくか、先制攻撃のチャンスを窺うということになってきます。

■可能性は五分五分

 昨年9月、金正恩総書記は、新型ロケットエンジンの試験に成功したと発表した。これを受けてか、同年10月、アメリカ空軍は核弾頭の投下訓練を行い、その写真を公表。香田氏は「これを使うとしたら中国でもロシアでもなく、北朝鮮の可能性が一番高い」と見る。

米田:先制攻撃の可能性はずばりどのくらいでしょうか。

川上:五分五分じゃないでしょうか。

香田:私はこの前の10月の投下訓練公表を受けて、五分五分から六:四までいったなという感じですね。今までだって投下訓練は行ってきたはずで、公表しないという原則を覆したことが、明確な意思表示です。

永岩:ただ、実際にアメリカが行動を起こした場合にどういった方程式でミッションを成功裏に成立させられるかということを考えると、非常に難しい課題が多々あります。ソウルは火の海になりますし、中国は戦略的に北朝鮮を手放しません。米軍の作戦発起に日本の関与は欠かせません。実行上は非常に難しい。

川上:私が五分五分と申し上げたのは、トランプ政権だからなのです。トランプは北朝鮮を屁とも思っていないが、面白くないとは思っている。中国に対するディール(取引)、北朝鮮に対するディール、日本も含めて緊張が高まった段階で、もしかしたら本当にやるかもしれません。

 一方で、金正恩が「ハロー」と電話をしたとして、普通は取らない電話をトランプだったら取るかもしれない。アメリカと北が手を結ぶ、そんな可能性も考慮しなければいけないほどトランプ政権は予想不可能じゃないかと思います。

米田:アメリカが攻撃するかはさておき、我が国はいつ何時北のミサイルが飛んでくるか分からない、という状況に対して、現状のミサイル防衛構想では完全な迎撃はできないでしょう。

永岩:現在の迎撃システムは、探知、追尾、対処を通してあくまで一つの答えを準備したというだけで、実際に飽和攻撃を受ければ対処能力としては極めて不十分です。ミサイル防衛以外も含めたさらなる準備が必要です。

川上:ミサイル防衛だけではどうにもならない。そういう意味で、安倍首相が所信表明演説でふれた敵地攻撃能力の整備というのは的を射た話です。

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「新潮45」3月号に掲載された本座談会「トランプ政権のいまだから『敵地攻撃能力』の整備を」では、より具体的な日本防衛策についても言及。対露対中関係での前米政権との違いなどにも触れ、トランプ政権を分析する。

デイリー新潮編集部