日本に持ち込まれた「北朝鮮の鉄道員制服」 専門家鑑定で判明した驚愕の「売値」

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戦前の制服なら20~30万円で買取

 では、こうした事実を踏まえ、鉄道ファンの世界では、どの程度の“商品価値”を有するのだろうか。鉄道グッズの買取と販売も手掛ける全国チェーン「からまつトレイン」の担当者に聞いた。

「北朝鮮の制服ですが、私は見たことも触ったこともありません。同業他社の担当者も同じでしょう。大変に珍しい掘り出し物なのは間違いありません。それは断言できます」

 しかしながら、珍しい掘り出し物であっても、高価で取引されるとは限らない。担当者は「結論から先に申し上げれば、査定不能です」と言う。

「戦前の日本統治時代なら多数のファンがいます。朝鮮総督府鉄道局の制服なら、私は大興奮していたでしょう。上下、帽子、靴が揃っていて、本物であることが証明されれば、買取価格は20万から30万というところです。駅長などの管理職が着ていたものであれば、あと少し値は上がると思います。しかし現在の北朝鮮、つまり朝鮮民主主義人民共和国での鉄道に興味を持っている人は、相当の少数派です。誰も買わない可能性が高く、買取の対象にはなりません」(同・担当者)

 担当者は「鉄道ファンではなく、北朝鮮という国家のマニアを対象にしたほうがいいかもしれません」とアドバイスしてくれた。そこで次に韓国や北朝鮮の書籍、DVD、グッズなどを扱う「レインボー通商」の代表・宮川淳氏に話を聞いた。

「この制服が極めて稀なのは、北朝鮮では物資が不足していることも大きな理由の一つです。制服が不要になったとしても、例えば雑巾としても使えます。窓ガラスが割れても、日本のように簡単には替えのガラスは入手できないところもあります。そんな時、着なくなった制服で窓を覆えば、とりあえず急場をしのげます。日常生活で様々な利活用が可能であるにもかかわらず、制服が所有者の手を離れ、国境を越えて、この現物を見ることができるようになるまでには、あちこちで我々には想像しがたい、少なからぬ“物語”があったと思います」

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