「國學院」が5秒に泣いた「ダブル転倒」事件の後日談 監督ら明かす

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「コケていなければ」

 結局、國學院は5つ順位を落とし往路14位で翌日の復路を迎えた。午前8時、往路優勝の東洋大がスタートしたのを皮切りに、以後10分間は前日のタイム差で各々の大学が出走する。トップと8分29秒差の國學院は、優勝より、翌年へのシード権を獲得することが目標だった。ところが、である。またしても中継所で“事件”が起きてしまう。

 ルールでは、トップとの差が20分を超えたら繰り上げスタートの扱いとなる。9区から最終10区へあと20メートル、僅か5秒の差でタスキが届かなかったのだ。

「中継所では、リレーの相手が目前に迫っていただけに、チームメイト全員が悔しかったと思います」

 とは前田監督だが、9区の途中で、こんな異変に気づいたと話を継ぐ。

「10キロ地点から、急に日本テレビのバイクが並走して来たんです。大体、バイクの中継カメラが来ると繰り上げ対象となる可能性が高いので、トップとの差を計測したら19分。繰り上げまで1分しか余裕がないと分かり、タスキが危ないと選手に言い続けたのですが」

 終わってみれば、シード権獲得まで3分あまり届かず、総合14位だった。

「もし僕がコケていなければ、5区の河野さんは絶対5秒は早く走っていた。責任はあると思っています」

 と4区の土方は首(こうべ)を垂れるが、前田監督が言うには、

「私たちが7年前に初めてシード権を獲得した時も、わずか2秒差でした。今回は選手同士がぶつかり、5秒の差でタスキが繋がらなかった。たかが5秒ですが、されど5秒。この気持ちを後輩たちがどう今後に生かしていくか。いいことではないですが、負けてこそ学ぶことが多い大会です」

 年の初めに流した涙は、やがて嬉し涙に変わるのか。

週刊新潮 2018年1月18日号掲載

ワイド特集「始末に困る人」より

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