命のロウソク「テロメア」を長持ちさせる健康術 食事、運動、心構え

ライフ週刊新潮 2017年10月5日号掲載

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腹式呼吸と庭掃除でキープ

 前章で触れたウオーキングについては、先の藤田名誉教授もお勧めだという。

「私の場合、1日1万歩を歩くと体の調子が良いし、血糖値も正常な値が出やすいのです。また太極拳、ヨガなども有効です。呼吸については、おへその辺りを意識し、腹式呼吸の『丹田呼吸法』を1日1〜2回繰り返すのがいいと思います。これらを実践することで酸素がたくさん体に取り込まれ、ミトコンドリアエンジンが効率的に回っていくわけです」

 が、65歳以上の方にとっては、激しい運動は要注意である。

「かえって体内で活性酸素を発生させてしまうことになります。私も昔、フルマラソンを走っていましたが、若い頃は、もともと体内に備わっている抗酸化物質が十分に働くから問題ありません。ところが65歳を過ぎると、それは著しく減っていきます」(同)

 こうした点を踏まえ、以下のような日常の心構えを説くのは、先の香川副学長である。

「睡眠時間は、7時間が最適であるとの調査結果があります。と同時に、規則正しい生活が大事です。雑巾がけや庭掃除などをこなし、心のストレスを解消すべく座禅を組む。すなわち、禅僧のような生活を心掛けて日々を送ることが、テロメアを維持するには理想的だといえるでしょう」

 冒頭の「死神」で主人公は、

〈消えかかったお前のロウソクに新しいロウソクを継ぎ足せば命を延ばせる〉

 と死神から告げられる。だが、手が震えてどうしてもうまく継ぎ足せず、そのまま火は消えて男は息絶えてしまう。

 せっかく授かった寿命を、みすみす縮める手はあるまい。

 ***

緑慎也(みどり・しんや) 1976年大阪府生まれ。出版社勤務後、フリーとなり科学技術等をテーマに取材・執筆活動を続けている。著書に『消えた伝説のサル・ベンツ』(ポプラ社)などがある。

特別読物「現在の寿命が一目で分かる! 命のロウソク『テロメア』を長持ちさせる健康術――緑慎也(科学ジャーナリスト)」より

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