命のロウソク「テロメア」を長持ちさせる健康術 食事、運動、心構え

ライフ週刊新潮 2017年10月5日号掲載

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2つのエンジン

 米は白米よりも五穀米や玄米、パンなら全粒粉がよい。精製の過程で、抗酸化物質が含まれる食物繊維、穀物繊維がそぎ落とされてしまうからだ。

 ただし、50歳を過ぎたら炭水化物の摂取は必要最小限に抑えるべきだという。

「それは糖質を控えるためです。というのも、我々が生きるためのエネルギーは、2つのエンジンで生み出されている。1つは『解糖エンジン』。植物が存在せず、地球上に酸素がない時代、細菌は糖を分解してエネルギーを作っていました。その頃から使われていた古いエンジンで、子作りや暴力など、原始的なエネルギーのもとでもあります」(同)

 もう1つは、酸素を燃料にしてエネルギーを生み出す「ミトコンドリアエンジン」である。

「こちらは前者のように瞬発力は作り出せませんが、心臓や脳など、持続的に活動する部位へエネルギーを供給しています。若い頃は解糖エンジンがメイン、ミトコンドリアエンジンがサブとして働きますが、大体50歳を境に、メインとサブが入れ替わる。ですが、そこでサブであるはずの解糖エンジンが活性化すると、メインが支障をきたす。取り込んだ酸素が活性酸素に変わり、結果として老化が進んでしまいます」(同)

 また、女子栄養大学の香川靖雄副学長は、

「生まれた直後に1万塩基対あるテロメアは、平均して1年で約50塩基対ずつ短くなり、死ぬときには5000塩基対程度になっています」

 そう前置きしながら、

「海苔や納豆、急須で淹れた緑茶やタタミイワシなどには、葉酸が多く含まれています。これはテロメアを含むDNAの合成、修復、調整に不可欠な物質であり、またテロメアを短くしてしまう有害なアミノ酸のホモシステインを抑制する効果があることが、近年の研究で分かってきました」

 とのことで、

「すでに米国やカナダなど世界82カ国では、葉酸の効果を認め、法律でパンやパスタ、シリアルをはじめ全ての穀物に葉酸を入れることを義務付けています。そのおかげで米国人の健康寿命は確実に延びました。また、青魚に多く含まれるDHAやEPAにも、テロメアの短縮を遅らせる効果があることも分かっています」(同)

 前出の田原教授もまた、1日の飲酒量をワイン2杯にセーブし、減塩食を心がけているという。その甲斐あって肌のつやは52歳とは思えないほど若々しい。むろんテロメア年齢も実年齢を下回っているのだが、自身の携わった測定の被験者の中から、こんな事例を紹介してくれた。

「検査時49歳でテロメア年齢63歳だった男性は、抗酸化力の強い緑黄色野菜を積極的に摂り、日常的にウオーキングするなどの対策を施した結果、2年後の検査ではテロメア年齢が47歳と実年齢より4歳下がり、Gテールの長さも8・3の注意領域から14・8の良好領域に入りました」

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