命のロウソク「テロメア」を長持ちさせる健康術 食事、運動、心構え

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命のロウソク「テロメア」を長持ちさせる健康術――緑慎也(下)

 落語の名作「死神」に代表されるように、しばしばロウソクに例えられる人の寿命――我々の体を形作る細胞の核、その染色体の先端である「テロメア」と名付けられた部分が、命のロウソクの役割を果たしていた。広島大学大学院医歯薬学保健学研究科の田原栄俊教授は、テロメアの端に伸び出た「Gテール」という個所に着目。Gテールが正常より短ければテロメアも早く短くなり、疾患リスクとの関係も明確に出やすいというのだ。

 科学ジャーナリストの緑慎也氏が「テロメア」年齢を測ってみると、実年齢より7歳ほど老化した47歳……。Gテールの長さを保ち、テロメア短縮の速度を遅らせるには、どのような生活を送ればいいのだろう。

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〈テロメアを上手に使う〉

 との観点から健康法を研究する、東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授に聞くと、

「遺伝子の違いで寿命が変わると考える人が多いですが、そうではありません。100歳で亡くなった人と50歳で亡くなった人で、がん、糖尿病、心臓病など病気の原因遺伝子とされるものをどれくらい持っていたか比較した調査では、両者に明確な違いは認められませんでした。両者とも同じくらい病気の遺伝子を持っていたわけです」

 代わりに大きな違いがみられるのは、

「生活習慣に尽きます。特に注意しなければならないのが細胞を傷つけ、結果的にテロメアを短くしてしまう活性酸素。テロメアはまさに“命の回数券”と言ってよく、一度使ったら元に戻せません。つまり、いかに活性酸素を抑えるかがポイントになります」(同)

 そこで重要なのは、活性酸素を抑えるはたらきのある抗酸化物質の摂取である。

「色の付いた野菜、果物、豆類などを積極的に食べましょう。植物はみな二酸化炭素を吸って酸素を出します。酸素は大事ですが、活性酸素に変わると細胞に悪影響を及ぼすので、植物は自分の身を守るために植物性抗酸化物質を持っているのです」(同)

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