小泉今日子、満島ひかり、菅野美穂…女たちの正義のゆくえに決着! ドラマ「監獄のお姫さま」とは何だったのか

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 あるイケメン社長へのリベンジを企むワケアリの女たちを描いた「監獄のお姫さま」。物語は女たちが大企業の社長である板橋吾郎(伊勢谷友介)を誘拐、監禁した2017年のクリスマス・イヴと、彼女たちが出会った女子刑務所内での回想シーンを行き来して進む。

 脚本は宮藤官九郎。手を組んで板橋に復讐する元女囚たちを演じるのは小泉今日子、菅野美穂、坂井真紀、森下愛子、そして夏帆。女たちを統率する元看守役には満島ひかりという、豪華な美女たちが勢揃いということで今季話題になったドラマだった。最終回は、これまでのコミカルなテンポ感はそのままに張り巡らされた伏線が回収された。そして2011年に殺害された横田ユキ(雛形あきこ)の事件の真相が裁かれる重厚な展開を迎え、元女囚たちの復讐がいかに決着したかが描かれた。

 板橋の誘拐の罪で捕まり、拘置所に入れられた榎木カヨ(小泉今日子)たちが、大晦日の夜にかつて収容されていた女子刑務所でいつも食事時に流れていた歌を合唱する場面は、時間軸の行き来や主要人物たちの駆け引きなどいろんな仕掛けがほどこされ、疑いたくなるところだらけだったこのドラマの中で、彼女たちの「お節介」の絆が本物であったことを証明するかのようだった。

 前回のラストシーンで、沖縄まで新たな証拠探しに出かけていた検事・長谷川信彦(塚本高史)は、紆余曲折ありながらも読みを的中させ、東京に戻ってくる。バカっぽい可愛らしさと、検事としての辣腕ぶりを演じ分け、それでいて最終的にタキシードでカヨにプロポーズするという役どころだった塚本は、やっぱりキュートだった。年齢を重ねて今や中堅俳優となった彼の、憎めないチャーミングさとシリアスな目つきの鋭さが存分に発揮されていて、あらためて塚本高史という俳優に魅了された。

 そして再審の場で、殺人教唆ではなく、実行犯でもあったことを自ら告白し、インテリジェンスなダーティヒーローが堕ちていく様を見事に演じ切った伊勢谷にも惜しみない拍手を送りたい。さりげなく放送された、彼に無期懲役という判決が下ったシーンは、現実社会における罪の重さをしっかりと示した。

 本作初回のレビューで私は「日本の年末は“紅白”で、女と男が対決すると決まっているものだ」と書いた。しかしその結末は、紅組のカヨたち、そして白組の長谷川が力をあわせて、“黒幕”板橋を押さえ込んだ形となったのである。

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