「夢千代」「平賀源内」の早坂暁さん逝去 天晴れ88年

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『花へんろ』『夢千代日記』『天下御免』……手がけた作品はテレビ、映画、小説を含め1000本を下らない。脚本家で、小説家としても知られた早坂暁さんが、16日、腹部大動脈瘤破裂のため逝去した。享年88。

 脚本家の後輩ジェームス三木氏の“早坂評”――。

「テレビドラマでは草創期から活躍されていた方。新しいエンターテインメントを次々試みられ、“早坂流”なるものを確立されました。ユニークなお人柄でもあられた。お酒は飲まず行きつけの喫茶店があり、いろいろ話をしていただきました。若い頃は詐欺師だったなんて平気で仰るんです」

 作家・麻生千晶氏も、こう思い出を語る。

「ある週刊誌で歴代ドラマのベスト1を選ぶ企画があり、真っ先に推したのが『夢千代日記』でした。吉永小百合さん演じる鄙びた温泉町の芸者は、これまでにない奥深い日本人像を映し出していました。その評を覚えていて下さり、よく声をかけていただきました」

 吉永さんとは親しく交流を持っていた。2005年には本誌(「週刊新潮」)で映画界の裏話等を話題に対談も行っている。

「代表作は数あれど、私が印象に残っているのは71~72年放送の『天下御免』です。時代劇ながら主人公の平賀源内が、現代のごみ問題や受験戦争を風刺したりと、何とも大胆な発想でした。テレビドラマはあそこから大きく変わったように感じますね」(ジェームス氏)

 一方、井上ひさし氏ほどではないが、早坂さんの遅筆も、殊のほか有名だった。

「渋谷のホテルが缶詰となる定宿。締切前でも抜け出し、遊びに行ってしまうんです。担当者が待ち構えていても、廊下を這って逃げてしまう」(担当編集者)

 50代で心筋梗塞を患い、大いに死を意識することもあった。だが開き直り、生前葬を行う茶目っ気ぶり。それが功を奏したか、最近までドラマ制作に勤しんでいた。

「今の脚本家は真面目な人ばかり。その中で際立って愉快な人でした。寂しい限りです……」(ジェームス氏)

週刊新潮 2017年12月28日号掲載

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