「平成」が終わる元号の変わり目に「皇族」を騙る「不敬の詐欺師」にご注意

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「すっかり信用しました」

《「あなたは、ほんとうに運のいい人です。御上のやることですから安心してください。お国のためがんばってください」》

 総白髪の殿下の甘くゆったりとした語りだったという。

《「“大喪の礼”の新天皇の御誄(おんるい)の語り口を聞いて、ああ、よく似ていると思いましたからね。すっかり信用しました。執事が“日本鋼管も、松下も、野村證券も随分殿下のお世話になっている。殿下のお陰で大企業になれた”といい、白嶌は、ウンウンとばかりうなずいていた」》と社長。

 もちろん、融資の話は、“天皇が亡くなったので”“アメリカ大統領交代のため”“大喪の礼後に”と次々と繰り延べられ、さすがの社長も疑い始めた――というもので、殿下や執事などが逮捕されるのは、3年後の92年まで待つことになる。

 当時を知る記者は、

「7月23日、富山県警に広域詐欺の疑いで逮捕されました。手口はみな似たようなもので、被害は県内だけで約2億円が確認され、東北、関西などを含めると被害額は十数億円と言われましたね。また、殿下たち一行は台湾へも乗り出していた、なんてことも報じられましたね」

「週刊文春」(92年9月24日号)によると、台湾でのキャスティングは更に増え、明治の元勲・岩倉具視の曾孫、中国からはラストエンペラー溥儀の弟と称する“愛新覚羅溥佗(ふとう)”、韓国からは李王朝の血をひく“李成義妃殿下”など日中韓のオールスターキャストで「国連難民救済アジア皇室会議」なるものが開催された。また台湾の人々には「日本国国家代表者 白仁王・白嶌誠哉殿下」と記された感状が授けられたという。

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