あの捏造記事はどこで一線を越えているのか――有馬哲夫教授が「文春」に反論

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別の識者のコメントも

 さらにあきれたことに、週刊文春編集部は「外人助っ人」とすべく南ジョージア大学のウィリアム・アリソン教授を引っ張りだしてきて「トルコ風呂自体は韓国軍の公式施設だったことがうかがえます」というコメントを載せているが、週刊新潮編集部がメールで本人に確認したところ、以下のように答えている。

「私は、韓国軍司令部が売春施設を運営していたとは断じて言っていません。報告書によれば、韓国軍の関係者と施設オーナーが共謀し、売春も含むこの施設の運営に関与していたのは事実です。しかし、彼らが携わっていたのは違法行為であり、韓国軍司令部が認めたものではない。報告書には、軍司令部が独自の売春施設を運営していたことを示す証拠は存在しませんし、この報告書以外にもその点を示す資料はありません」

 アリソン教授は、問題の公文書に関して、私と同じ趣旨の解釈を示されている。要するに、週刊文春編集部はアリソン教授のコメントを曲解し、あるいは捏造した疑いがある。

 この問題に、もっと深い闇があることを思わせるのは、O記者が、例の捏造記事が掲載される前に、件の文書を「確認した」と繰り返し証言していることだ。自分がいっていることの意味がわかっているのだろうか。この記者は、要するに、あの記事が捏造であるとまえまえから知りつつ、掲載を進めたといっているのだ。言い換えれば、お金を払って買ってくれる読者を騙すつもりでやったということだ。自分がお金をもらっているのは、上司からでも、会社からでもなく、週刊誌を買ってくれる読者からだということをわかっているのだろうか。この記者がこれだけ似たような改竄と捏造を繰り返していることから考えると、彼は知っていただけでなく、あの記事の捏造に関与していたことを疑わざるをえない。

 このことを裏付けるかのように、これほど捏造が騒ぎになっているのに、作者とされる山口氏はさっぱりでてこない。週刊新潮や私に対する対応も、このO記者が一手に行っている。まるで自分のことのように、反論記事などを書いて懸命に火消にあたっている。私は胸のなかに黒い疑念が湧きあがってくるのを抑えられない。捏造の黙認だけではなく、共犯だったのではないか。あるいはゴーストライターだったのではないか。実際この質問を彼にぶつけたが答えはかえってこなかった。

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