あの捏造記事はどこで一線を越えているのか――有馬哲夫教授が「文春」に反論

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読者に対する背信行為

 さらに信じられないことに、この記者は私の回答のうち「あなたのいい方では『専門家』はこれを捏造と呼びます。私のいい方では『世間』はこれを捏造と呼びます」だけを切り取って記事に引用している。これだとなにをいっているのかわかない。週刊文春の読者は私を少しおかしい人間だと思うだろう。実際にはその前にこういっているのだ。

「下記の文をその匿名希望の『専門家』に訳してもらってください。The Turkish Bath is not operated for the sole benefit of Korean troops. Rather, it appears to be a public establishment which caters to the general public, excluding Vietnamese nationals but including persons not authorized to possess or purchase United States exchange merchandise imported duty free.(※編集部訳:ターキッシュバスは、韓国軍のみの便益のために営業していたわけではない。むしろ同施設は、一般に開かれたものであると思われ、ベトナム国籍を有する者は除くものの、米国駐屯地売店で扱われている免税輸入品を所有または購入する権利を与えられていない者を含んだ、一般大衆にサービスを提供しているようである)さらにRather以下の文がなぜ文春の当該記事ではなくなっているのか説明してください。 議論の余地がないとおもいます」

「あなたのいい方では」以下はこれに続く文だ。つまり、解釈の余地などなく、もとの文書の主旨は山口氏の主張とは逆であって、しかもRather以下が当該記事から消えているので捏造だと明言しているのだ。これも悪意に基づくコメントの改竄で名誉棄損だ。

 ちなみに「専門家」とでてくるのは、O記者が、名前をはっきりいわずに「専門家は別な解釈をしている」としきりにいうので、そのいい方を借りたのだ。相手の主張に正面切って論駁できないとき、「専門家は違う解釈をしている」とその場限りの逃げを打つ人がいるが、彼はそのタイプのようだ。

 O記者がなぜ、私の回答の前半部分を削除したのか理由は明らかだ。この部分は誰でもわかる捏造箇所の指摘なので、この部分を引用すれば、週刊文春の読者にも捏造だとわかってしまうからだ。この致命的結果を避けるために、削除して読者に読ませまいとしたということだ。なんという読者に対する背信行為だろうか。読者には知る権利があるのだ。

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