あの捏造記事はどこで一線を越えているのか――有馬哲夫教授が「文春」に反論

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勝手に削除した記者

 さて、O記者は、週刊文春の反論記事の複数箇所で、私がメールで送ったコメントを使っていたが、自分にとって都合が悪いところを勝手に削除している。そうしないよう何度も念を押していたにもかかわらずだ。(さらにいえば、この記者は私が取材を受ける条件とした、個人攻撃をしないという約束も破った。事実を指摘しただけの私をどうして個人攻撃するのか)

 たとえば、文春の記事には私の言葉として「山口氏が発見したとする文書と私の読んだものが同じものなのか確認が必要です」と引用されている。自分のメールを読み返すとたしかに「山口氏が発見したとする文書と私が読んだ文書が同じものなのか確認が必要ですので、まずお聞きします」といっている。

 問題はそのあとで、私はなぜそう聞くのかについてこう説明している。「このような可能性があるのでお聞きしています。山口氏が貴紙に渡したものが全部ではなく一部だった可能性。リサーチャーが渡したものが全部ではなかった場合。これを確認しないと議論が宙に浮きます。」つまり、文書の同一性については疑いがないのだが、山口氏から文春編集部に、あるいはリサーチャーから山口氏に渡ったものが、全部ではなく一部である可能性、たとえば本来3枚あるものが2枚しか渡っていない可能性を疑ったのである。私はこの段階ではまだ週刊文春が捏造の被害者だと思っていたのだ。

 しかし、驚いたことに、O記者は私の説明を勝手に削除してしまった。そして、私が文書の同一性も確認せずに「捏造」と断定したいい加減な人間だという印象を読者に植え付けた。これは名誉棄損である。

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