クロマグロ豊漁、秋サケ不漁…「お歳暮・おせち」の変

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 絶滅の危機だからと、中西部太平洋まぐろ類委員会で、日本はクロマグロの漁獲規制を提案。言ったそばから、クロマグロが豊漁で。

「そうかと思えば、秋の味覚のサンマは大不漁だろ。おまけに昨年に続いて秋サケもだよ。おっかなくて仕入れも出来ないよ」

 とボヤくのは築地の大手卸売会社「東都水産」だ。

「サケが獲れなきゃ、筋子も値が上がる。例年の値段? もう分からないよ。東日本大震災以降、年々漁獲が減っている感じがする。筋子なんて去年は1キロ6000円ぐらいだったのに、今年は9000円と1・5倍。これじゃ売れないよ」

 ちょうどおせち商戦も始まったところ。サケが獲れなきゃ、お歳暮の定番の新巻もおせちの“花形”、イクラも手に入らない。

 北海道の「さけます・内水面水産試験場」に聞くと、

「現在の漁獲状況は不漁だった昨年に続き、前年比で6割弱といったところです。サケは人工ふ化放流によって管理されていて、秋サケは4〜5歳で戻ってくるものが主体となります。それらを放流した2013年、14年の海水温が非常に低かったために、沖に出るまでに稚魚が死んでしまい、昨年今年と続いて不漁になったと考えられます」

 原因が4年前では、対策の立てようもない。おまけに、カニまで不漁というのは、同じく北海道の水産局漁業管理課である。

「毛ガニは資源量が減少傾向にあり、水揚げも年々減っています。またロシアからの輸入が規制され、輸入量も減っていますので、単価は上昇傾向にあります」

 前出の築地の卸売会社は、

「タラバガニは去年より少し安いかな。でも元々高級だからね。スケトウダラは横ばいだから、蒲鉾は例年並み。でもおせちが練り物ばっかりじゃねえ」

 来年の話をすれば鬼が笑うとは言うけれど、年が明ければ節分も近い。クロマグロに並んで、鬼が苦手のイワシも豊漁。鬼だって笑ってる場合ではない。

週刊新潮 2017年10月26日号掲載

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