米ドル獲得に血道を上げる北朝鮮の「裏ビジネス」最新事情 象牙にサイの角、偽ドル札に覚醒剤、そしてマツタケも…

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北朝鮮はマツタケ天国!?

 かつて北朝鮮産のマツタケは、普通にスーパーで売られていた。だが日本政府は06年、核実験の制裁措置として、輸入の全面禁止に踏み切っている。15年には北朝鮮産のマツタケを中国産に偽装したとして、2人の逮捕者が出た。

 宮塚コリア研究所の宮塚利雄代表は数年前、吉林省の国境地帯を調査したことがあるという。ここで北朝鮮産のマツタケが中国産に偽装されるのだ。

「現地の協力者が運転する車に乗っていると、人民解放軍の軍人が検問を行うんです。トランクを開けさせて、まず彼らがチェックするのは脱北者が隠れていないかということと、マツタケを持っていないかということだったんですね。ただ前者はともかく、後者は賄賂を要求するためだと思います。それから市場に行くと、マツタケが山のように積まれていて、確かに吉林省もマツタケの一大産地なんです。では、なぜ中国側は北朝鮮のマツタケを密輸するかというと、非常に安く仕入れることができるので、自分たちが採取するより利幅が大きいんですね。しかも香りも味も全く変わらない」

 その後、宮塚代表はマツタケを中国に密輸する北朝鮮のバイヤーと話をする機会があったという。マツタケについて話をしていると、日本人とは異なる評価を下していた。

「私が北朝鮮側の人間に『日本では香りマツタケ、味シメジって言うんですよ』と教えたんですが、相手は首をひねっているんです。理由を聞いてみると、『どうして日本人が、あんな味のしないものに高い金を払うのか不思議で仕方がない』と言うんです。どうやら北朝鮮ではマツタケを食べる人は少ないらしく、だからこそ外貨獲得手段として利用されているようです」

 外国産のマツタケは香りに乏しいとされるが、やはり現地で取れたばかりのものは香りも味も濃厚だったという。

「現地で試食してみましたが、少なくとも私にとっては、国産と変わらない香りと味わいに思えました。そして丸が三つぐらい違うわけですから、確かに吉林省はマツタケ天国だと思いましたね」

 美味しいマツタケですら核・ミサイル開発の資金源に変えてしまうのだから、やはり恐ろしい国だ。かつてアメリカのブッシュ政権は公式文書でイラン、イラク、北朝鮮を「ならず者国家」と呼んだ。中東の2国はともかく、確かに北朝鮮は、そう言われても仕方ないだろう。

週刊新潮WEB取材班

2017年10月13日掲載

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