あの“五輪エンブレム”佐野研二郎氏をNHKが起用のワケ 実は今「超売れっ子」

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「分かりやすく、面白く、そしてポップ」

 ならば、なぜ佐野氏が今も「売れっ子」なのか、広告代理店の関係者に話を聞いた。

「アートやデザインの世界では、才能が豊かであっても自分の世界に浸りきり、難解な作品しか創れない人も少なくないんです。ところが佐野さんは多摩美を卒業すると博報堂に入社、社内でも断トツに優秀だったそうで、私たちが求めるものを熟知しています。佐野さんの作品は分かりやすく、面白く、そしてポップ。同じレベルの仕事ができる人は、そんなにはいないんです。だから今でも佐野さんの仕事は途切れないんですね」

 少なくとも広告の世界では「東京五輪のエンブレムは、やっぱり佐野さんの作品の方が、優れていたと思う」という声も、決して少数意見ではないのだという。

「商業デザインの現場では結局、コミュニケーション能力が優れているデザイナーの方が重宝されます。佐野さんはクライアントとしっかり打ち合わせをします。それだけでも喜ばれますよ。天才でも無口じゃ仕事にならない。私たちは佐野さんが東京五輪で大失敗した理由を、多忙でスタッフ任せにし過ぎたんだろうな、と同情的に受け止めています。あれほど徹底的にあら探しされてしまうと、どんなデザイナーでも1点や2点は、パクったものは出てきてしまいますし」

 と、徹底して擁護なのだ。

 確かに「余人をもって代えがたい」のかもしれない。佐野氏が貧困のうちに死亡したら、やはり寝覚めは悪いだろう。とはいえ、様々な問題が報道された人物であるのも事実。それを“前科”不問、“焼け太り”大歓迎というのなら、広告・アート業界とは、やはり我々凡人には理解しがたい場所らしい。

週刊新潮WEB取材班

2017年10月8日掲載

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