「スマホ猫背」を矯正するには――ポイントは“骨盤”と“筋膜”
大病が潜む「スマホ猫背」矯正術で寿命が延びる(下)
(上)では、数多の病へと繋がる「スマホ猫背」の危険性と「よい姿勢」のチェック方法をご紹介した。医療ジャーナリストの蒲谷茂氏が今回紹介するのは、その矯正法だ。
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これらの改善には、やはり体を動かす習慣が大切。首都大学東京大学院人間健康科学研究科の竹井仁教授(医学博士・理学療法士)は、骨盤に着目したウオーキングを提唱する。
「ただし、骨盤の傾き方によって方法が違います。姿勢を確かめるには専門家に依頼するのが確実ですが、自宅でもできます。壁に背を向け、かかとを5〜7センチほど離して立ちます。頭と背中、お尻を壁にくっつけてみてください。壁と腰との隙間に掌が入るくらいが理想ですが、腰の間に手が楽々と入ってしまうようならば、骨盤が前傾しています」(同)
先ほどの骨盤トライアングルでいえば(※前回参照)、腰の出っ張り(上前腸骨棘)が恥骨結節より前に出ているのが前傾型。猫背を防ぐには、大股でのウオーキングが効果的だという。
「足を前に振り出す時、後ろ側の大殿筋(お尻の筋肉)にきゅっと力を入れましょう。大股で歩こうとすると腰が反りがちになるので、腹筋にも力を入れると、骨盤の前傾と腰の反りが矯正されます。歩く時間は15分で十分。大股だと腕も自然に大きく振れますが、後ろに振った時は肘をしっかり伸ばしてください。この歩き方は全身運動になり、代謝も上がります」(同)
反対に骨盤が後傾している場合は、同じように壁を背に立っても、お尻が壁につかず、あるいは壁と腰との間に掌を入れようとしても入らない。
「このような人は、大股歩きではなく太腿を大きく上げて歩きましょう。これで腸腰筋という筋肉が刺激されます。この時、腰が丸くならないよう、背骨に沿ってついている腰の脊柱起立筋にも力を入れてください。こちらも15分で構いません」(同)
闇雲に運動しても、猫背には効かないのだ。
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