美人すぎる落語家「金原亭乃ゝ香」 寄席に志願したワケ

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■「お腹が痛い」

 親の反対を押し切り入門したという彼女。何がそこまで背中を押したのだろう。

「どこに落語の魅力を感じたのと聞いたら、“男社会の中で女性の立ち位置を開拓していく楽しさがある”と言ってましたね。乃ゝ香はどこか堂々としているところがありますが、精神的にはキツイ時期だと思いますよ。この前もお腹が痛いと言っていましたから」

 と明かす世之介師は、落語の世界には未だに古い仕来りが多いと続ける。

「前座にとって最も大切なのは、先輩が気持ちよく高座に上がれるようにすること。楽屋で着物を綺麗に畳み、この人には温かいお茶、冷たい水など好みも憶えないといけない。太鼓の叩き方も流派ごとに異なるから間違うと叱られる。下の立場からモノを言うことは許されず、先に口を動かしていいのは挨拶の時だけです」

 演芸評論家の吉川潮氏はこんな意見を口にする。

「立川談志は『落語は人間の業の肯定』と言いました。落語家は女房に絡んで女郎を買いに行く、どうしようもない男を演じますが、女がそれをやると見る人に違和感を与えてしまう。24年前、落語400年の歴史で初の女真打が誕生して、この10年でだいぶ増えましたけどね。桂あやめは、年齢を重ねる毎に独身女性のコンパ、嫁姑の争い、高齢出産を落語にして成功した。自らの経験を踏まえ、女でないと表現できない新作を目指せば成功する余地はあります」

 師匠によれば、彼氏がいるかどうかは聞いていないとのこと。「人間の業」を学ぶのはまだこれから――。

ワイド特集「蝶よ花よと女の舞」より

週刊新潮 2017年5月4・11日ゴールデンウイーク特大号掲載

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