小倉優子「夫の不倫」離婚が「慰謝料ゼロ」でもおかしくない理由

芸能2017年3月13日掲載

浮気しても慰謝料ゼロ?

 タレントの小倉優子さんが、カリスマ美容師である夫との離婚を発表した。離婚のきっかけは小倉さんの妊娠中の夫の浮気だという。しかも、その相手は小倉さんも知っている後輩だというから、精神的なショックは大きかったのは間違いないだろう。

 それにもかかわらず、今回の離婚では「どうやら慰謝料がゼロらしい」ということも話題になっている。

「こんなの男が100%悪いに決まっているのに、どうして慰謝料をふんだくらないのか」

 そう思う方も少なくないだろう。

 しかし、「相手の不実」=「莫大な慰謝料」というのは、ありがちな勘違いだ、と指摘するのは作家の藤沢数希氏である。

 藤沢氏は、新刊『損する結婚 儲かる離婚』で、結婚と離婚にまつわるさまざまな誤解を指摘し、法律的に正しい知識を解説している。以下、同書をもとにこの問題を考えてみよう(「 」内は『損する結婚 儲かる離婚』からの引用)。

慰謝料の正しい定義

 そもそも、芸能ニュースなどマスコミで使われる「慰謝料」と、法律用語の「慰謝料」とは異なる概念である、と藤沢氏は指摘する。

「マスコミの報道で使われる慰謝料というのは財産分与なども含めて、離婚の際に支払わる総額のことである。

 一方で、法律用語の慰謝料とは『不法行為によって被害者に与えた精神的な苦痛に対して、その賠償として支払われる金銭』のことである」

 もちろん、配偶者が浮気をすれば、浮気された方は慰謝料を請求できる。ところが、その額は大したことがないというのだ。

「慰謝料の相場は、財産や所得に関係なく100万円や200万円といったものである。裁判官にものすごく嫌われて、最高に高くなっても500万円ぐらいだ。

 高額所得者の離婚では、将来の婚姻費用の前払いとしての解決金、財産分与などで数千万円以上の金額が動くことがふつうなので、こうした慰謝料は全体から見れば非常に小さいのだ」

 小倉さんの場合、人気タレントだけに分与すべき財産などは少なくない可能性が高い。そうなると、「慰謝料ゼロ」であっても、大勢に影響はしない。

 それどころか、夫婦の「財産」は結婚後に築いたものの総額になるので、正直に折半すれば、小倉さんの持ち出しになる可能性もあるのだ。同書では、やはり浮気が理由で離婚した矢口真理さんと中村昌也さんのケースをとりあげながら、矢口さんの所得の大きさを考えると、慰謝料よりは財産分与の金額のほうがはるかに大きくなる、と分析している(もちろんこの場合、支払うのは矢口さん)。

離婚というマネーゲーム

 藤沢氏は、芸能ニュースなどを鵜呑みにして、離婚に関する金銭の問題を考えることは危険だ、と指摘している。「浮気をした相手からは莫大な慰謝料を取れる」に限らず、「離婚すると財産の半分を失う」「相手が浮気をしたら裁判で簡単に離婚できる」というのも「全くの誤りだ」というのだ。

 藤沢氏の知人で、外資系企業に勤める男性は、妻の浮気が原因で離婚をすることになった。男性が妻を責めたところ、彼女は家を出て行った。それで即離婚成立、となったかといえば、2年もの間裁判で争うことになった。それだけではなく、その間、出て行った妻(どこに行ったのかもわからない)に対して、家庭裁判所の命令によって毎月37万円もの支払いを命じられ、さらに和解のために解決金3000万円も支払うことになったというのだ。

 こうしたケースは弁護士にとっては珍しくないのだが、彼らはあまりそれを口外しない。司法テクニックを駆使すれば、このケースのように、相手から金を最大限に取ることもできるとはいえ、「建前」としてはあまり大っぴらに言うべきだと考えていないからである。結果として、マスコミも一般人も「マネーゲームとしての離婚」の実態を知らされないままでいるのだ。

 藤沢氏は、結婚と離婚は、人生において「巨大なリスク」になる可能性をはらんでいるが、多くの人がそれにまったく気がついていない、と警鐘を鳴らしている。

デイリー新潮編集部