トランプ側近「バノン」「クシュナー」闘争の行方

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 まもなく政権100日を迎えるトランプ陣営で、ついに内紛が公然化した。

「盟友であるスティーブ・バノン氏と、愛娘イヴァンカの夫ジャレッド・クシュナー氏の対立。上級顧問同士の衝突を大統領も事実と認めています」(在米記者)

 トランプ氏は、「いい奴なんだが……」とバノン氏に気を遣いつつ、「解決しろ」とメディアを通じてクシュナー氏との和解を要求。でなければ「俺が解決する」と更迭をほのめかした。

“混ぜるな危険”の間柄

「分岐点は、シリア空爆を決めた4月6日の国家安全保障会議(NSC)です」

 と話すのは軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏。

「アメリカ・ファーストのバノンは、米国民が殺されているわけでもないシリア情勢への深入りには大反対。一方、敬虔なユダヤ教徒であるクシュナーは反シリア。ビジネスマンらしく、苦手なことは専門家に任せるトランプは、クシュナー側についた軍の専門家たちの進言に乗って、シリア空爆を決断したのです」

 片やブルーカラーのアイルランド系家庭出身で、ときに陰謀論めいたユダヤ資本批判までする極右メディアの元会長。こなた裕福なユダヤ人事業家の子息。息が合うはずもなかった。

「バノン氏をいきなり切り捨てれば、支持層が離れてしまいますが、彼が外されていく方向です。しかし、結果的にトランプ氏はまだマシな選択をしました。未だに政治任用ポストが空席だらけの同政権もこれで路線変更が始まるでしょう」

 国際ジャーナリストの春名幹男氏は、そう分析する。

「そもそも、バノン氏は安全保障には素人で、NSCのメンバーに入れていいような人物ではありません。そんな中で、なんとかNSCを立て直そうと動いたキーマンが、マクマスター安全保障担当補佐官です。博士号を持ち、民主党系の人物でさえ『彼は歴史家(ヒストリアン)だ』と評価する有能な軍人。とは言え、大統領と個人的なパイプがあるわけではない。そこを繋いだのが“娘婿”のクシュナー氏なのです」

 最後の決め手は、やはりせまい身内の論理だった。

週刊新潮 2017年4月27日号掲載

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