大谷翔平、ケガで40億減のメジャー評価 “二刀流封印”の意見も

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 プロ入り5年目にして既に「レジェンド」の風格すら漂う大谷翔平(22)が窮地に立たされている。侍ジャパンの「投打の要」と期待されながらWBC欠場が決定。来季の活躍どころか、メジャー移籍にも暗雲が垂れ込める。

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大谷翔平(北海道日本ハムファイターズ公式HPより)

 さるスポーツ紙デスクによれば、現在まで続く大谷の痛みの原因は“右足首三角骨の骨棘(こっきょく)”。医学博士で日体大総合研究所所長の武藤芳照氏が解説するには、

「軽い症状なら2〜3週間で完治しますが、大谷選手は日本シリーズで発症した後も、立て続けに日本代表の強化試合に出場している。痛みを堪えているうちに炎症が悪化してしまったのでしょう。それが神経に直接触れるような骨棘であれば手術で削り取る必要があります」

 大谷自身は手術について〈WBCも強化試合もない状態だったら、去年の段階でしていたかもしれない〉と漏らすが、一方でキックボクシングに興じる動画も出回っている。自業自得の末、骨棘の除去手術はもはや「不可避」なのだ。

■肘や肩にも大きな負担

 難しい手術ではないにしろ、足首にメスを入れれば、実戦復帰までに最低でも3カ月を要する。3年連続の「開幕投手」が絶望的なばかりか、調整が遅れ、公式戦で満足な成績を残せる保証もないのだ。肘や肩に比べて下半身のケガを軽視する向きもあるが、

「僕も現役時代に悩まされましたが、軸足のケガは投手生命そのものを脅かしかねません」

 そう警告するのはヤクルトのエースとして活躍した野球評論家の川崎憲次郎氏である。

 大谷と同じく本格派の「右腕」として最多勝投手にも輝いた川崎氏によれば、

「多くの投手はボールをリリースする瞬間、軸足を踏ん張って手首のスナップを利かせます。そうして“最後のひと押し”を加えることで球威が増すわけです。しかし、足首に違和感があると、軸足で十分にマウンドを押さえつけられず、どうしても“棒球”になってしまう」

 だが、川崎氏が球威以上に懸念するのは「上半身」への影響だという。

「軸足を庇って上半身だけで投げようとするため、投球フォームが崩れるだけでなく、肘や肩にも大きな負担が掛かるのです。僕は1992年のキャンプ中に右足首を捻挫したのですが、完治しないままトレーニングを続けたことで肘を痛め、シーズンを棒に振りました。大谷君に限らず、プロ野球選手はまず自分から試合を降りたいとは言いません。それでもWBC出場を辞退したということは、彼の右足首の状態はやはり芳しくないのだと思います」

■「商品価値」の低下

 一方、今回の騒動をシビアな目で見つめているのは、「日本のエース」獲得に向けて動いてきたメジャー各球団のスカウトも同じだ。

 メジャーリーグ研究家の友成那智氏はWBC欠場よりも、むしろケガによる「商品価値」の低下を懸念する。

「メジャーリーグはとにかく選手の“健康状態”に厳しい。たとえば、岩隈久志は2015年オフにFA権を行使してロサンゼルス・ドジャースとの交渉に入り、“3年総額4500万ドル”の年俸を提示されます。しかし、フィジカルチェックの結果、契約は白紙となってしまった。そのドジャースに入団した前田健太は医師から肘と肩の靭帯の異常を指摘され、“8年2500万ドル+出来高”という低年俸で買い叩かれています」

■投手一本に絞るべき

 もっとも、大谷のメジャー移籍を巡っては、昨年11月にMLBと選手会が合意した、新労使協定が適用されると報じられている。

 大谷が25歳未満でメジャーに移籍した場合、契約金の上限はおよそ5億5000万円。入団から3年目までの年俸も、メジャーの最低保障額=約6000万円に抑えられてしまう。

「ただ、新協定の目的は、アメリカとキューバの国交正常化以降、激化しているキューバ選手の獲得競争を牽制すること。大谷に“特例”を求める声も上がっています。もし、特例が設けられれば、田中将大の“7年1億5500万ドル”を上回る“8年2億ドル”も夢ではない」(メジャー球団スカウト担当者)

 だが、ここでもケガが暗い影を落としかねない。

 先の友成氏が続ける。

「メジャーの球場は日本と比べてマウンドが硬く、そのせいで井川慶や松坂大輔は不調に陥った。軸足に故障を抱える日本人選手に厳しい評価が下されることは避けられない。ケガの影響が長期に亘るようなら、契約総額が2割ほど減額されても不思議ではありません」

 万全な状態での契約金が2億ドルとすれば、実に40億円以上のロスとなるのだ。

 さらに、メジャー移籍を前に改めて浮き彫りとなったのは、大谷の代名詞である「二刀流」の危うさだ。

 事実、右足首にダメージを与えた数々の捻挫は、ほとんどが野手として出場した試合で負ったものである。

 野球評論家の張本勲氏は手厳しい。

「今回のケガの原因は下半身のトレーニング不足。彼くらいの年齢の投手は、野手の10倍は走り込んで膝や腰、内転筋を鍛えなければなりません。それを怠って二刀流にこだわれば必ず同じようなケガをする。メジャーを目指すのであれば、尚のこと投手一本に絞るべきなのです」

 メジャーリーグ評論家の福島良一氏も首肯する。

「メジャーで評価されているのは、あくまで160キロを超える剛速球が武器の“投手・大谷”です。パワーヒッター揃いのメジャーには大谷クラスがゴロゴロいます。たとえば、サンフランシスコ・ジャイアンツのバムガーナー投手は、1シーズンに2度の満塁ホームランを記録したこともある強打者で、オールスターゲームのホームラン競争にも出場します。そんな彼ですら、代打で起用される程度で“二刀流”とはほど遠い。今回のケガを教訓に二刀流は封印すべきです」

 二刀流はすでに諸刃の剣と化しつつある。呪縛に囚われる限り、「自滅」のリスクからも逃れられない。

特集「メジャー評価も『40億円減』!手術不可避『大谷翔平』が自滅した理由」より

週刊新潮 2017年2月16日梅見月増大号掲載

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