「子連れ狼」原作者に金銭トラブル 内弟子からの保証金めぐり

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 劇画「子連れ狼」が一世を風靡したのは40年以上前。原作者の小池一夫氏(80)にとっては、今に至る大御所の地位を築き上げる契機となった大作なのだが、その「劇画界のドン」が、あろうことか“寸借戦法”で窮地に立たされているのだ。

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保証金めぐり金銭トラブル(写真はイメージ)

 小池氏は1970年から「漫画アクション」誌上で「子連れ狼」を連載。その間、72年には漫画プロダクション「小池書院」を立ち上げ、人気漫画家を抱えて多くの作品を世に送り出してきた。が、さる関係者によれば、

「長引く出版不況で資金繰りが悪化し、昨年2月の雑誌発行を最後に実質上、営業停止状態にあります。破産手続きに入るべく、すでに昨年11月には、債権者に宛てて債務を調査する文書を送付しています」

 そうした危機から脱するかのように、小池氏は6年前に社長を辞任。現在の中澤正和社長に聞くと、

「小池先生は数年前に自社株を手放しており、すでに経営にはタッチしていません」

 というのだが、そんな折、大御所には別のトラブルが持ち上がっていた。

「小池さんは、私たちから預かったお金を返済しないままなのです」

 そう明かすのは、かつての内弟子の一人である。

「2011年にウェブ上で小池さんの漫画講座を受講しました。週に一度ユーストリームで視聴し、半年間で学費は10万円。そのうち私や何人かは、修了後に小池さんから『有望だから内弟子にならないか』と声を掛けられたのです」

■「僕の悪口を言っている」

 同年夏から、小田原の合宿所「小池工房」で“修業”が始まったといい、

「数人いた内弟子は、週に2回ほど通って作品を作っていったのですが、その間、小池さんはめいめいに『保証金』を要求しました。いわく“途中で投げ出さないため”また“部屋を汚されるおそれもあるから”とかで、お金はデビュー時に返金するとのことだった。金額は100万や500万などまちまちでしたが、『いつでも返金する』との覚書を書いてもらった人もいます」

 数カ月の指導を経て出版社に持ち込んで“卒業”となるのだが、約束は履行されなかった。

「保証金の返還を求められた小池さんは『作品が掲載されてからだ』『次は君の番だ』などと説明するのですが、戻ってこない。いくら催促しても『もちろん返す』と繰り返すばかりで、挙げ句、電話を着信拒否にされてしまった人もいるのです」

 まるで自身の劇画らしからぬ振舞いに、ご本人いわく、

「小池書院の破産は、スローランディングでしょうね」

 としながら、

「保証金といっても預かったのは30万円くらいで、一部の人には返している。作品を完成できずにいなくなった人が、僕の悪口を言っているんですよ」

 そう反論するのだが、先の関係者は、

「小池さんは近年、金銭トラブルが相次いでいます。07年には作品の著作権を二重譲渡したとして知人から裁判を起こされ、一審で2億円近い損害賠償を命じられて現在控訴審が続いている。また一昨年には自ら募った『アニメファンド』への出資をめぐり、女性から700万円余りの返還請求訴訟を起こされています。自ら晩節を汚しているのです」

 不朽の名作の主人公・拝一刀よろしく、まさかご自身が浮世をさまようことになろうとは……。

ワイド特集「年を跨いだ無理難題」より

週刊新潮 2017年1月12日号掲載

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