患者が殺到しすぎて、1年待ち? 話題の「ぬいぐるみ病院」に入院してみた!

食・暮らし2016年12月20日掲載

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中瀬ゆかり部長に見送られて入院

 情報番組やネットのニュースで紹介され、SNSを中心に大きな話題となっている「ぬいぐるみ病院」。ぬいぐるみの通販会社が始めたメンテナンス事業だが、単なる修繕やクリーニングではなく、傷んだり汚れたぬいぐるみを「患者として受け入れて治療する」というコンセプトで立ち上げた。ぬいぐるみたちが医師や看護師、そして患者を演じている同病院のサイトは広く知られるようになり、大阪に実在する「ぬいぐるみ病院」には、全国から入院の申し込みが殺到。現在のところ予約受付を一時停止し、入院は1年待ちの状態だという。

■病院での治療は内科から外科、全身エステまで

 この「ぬいぐるみ病院」では、どのような治療が行われているのだろうか?
 病院のコンセプトをさらに膨らませ、ぬいぐるみが登場人物となって病院の物語を描いているのが、フォト絵本『ハイ!こちらぬいぐるみ病院です。』(新潮社)。その中に病院での修繕やクリーニングの様子が詳しく載っている。やせてしまった綿の入れ替え(内科)から破れやほつれの補修(外科)、経年による汚れの洗浄(リハビリテーション科・全身エステ)など、さまざまなメンテナンスに対応しているようだ。

 では、実際に治療を体験してみようと、身近なぬいぐるみを入院させることにした。患者は、いつも会社のソファにたたずんでいるカエルのぬいぐるみ、通称「ケロ親方」。かなり前から黄緑の身体は薄汚れて、両腕は綿やせでボリュームがなくなり、お腹の縫い目は破れかけている。ソファでうたた寝する社員の枕になることもあり、ちょっと臭いも気になっていた。

患者は、いつも会社のソファにたたずんでいるカエルのぬいぐるみ、通称「ケロ親方」

■中瀬ゆかり部長に見送られて入院

 病院の予約受付が一時停止となる直前、何とか駆け込みでネット上の手続きを済ませると、「もんしんひょう(問診票)」がメールで送られてきた。補修して欲しい場所と綿の入れ替え希望を書き記して、特に「マッチョにしてほしい!」とリクエスト。さらに全身エステもお願いした。

 ソファのある部屋の責任者、新潮社出版部の中瀬ゆかり部長にも、ケロ親方を入院させることを報告。段ボール箱に梱包して、中瀬部長と一緒に「ぬいぐるみ病院」へ送り出した。

 ほとんどのケースは、今回のように宅配便を利用してぬいぐるみを病院に送り、病院からも宅配便で戻ってくるが、中には大阪の病院に自ら持参し、退院する際も自分で迎えに来る持ち主もいるそうだ。
 入院期間は約3週間。ケロ親方は元気な姿で退院できるのだろうか?

■ほぼ新品のケロ親方が退院してきた

 新潮社の中瀬部長のもとに巨大な段ボール箱が送られてきたのは、ケロ親方の入院からちょうど3週間後。丁寧に梱包された箱を開けてみると、あの薄汚れていたカエルのぬいぐるみが、リボンをかけられ、まるで新品のような輝きを放っている。リクエスト通り、やせ細っていた両腕はムキムキのマッチョになり、破れかけのお腹は元通りに修繕されて、汚れがきれいに落ちた表面の生地は肌触りまでなめらか。心なしか、鼻を近づけるといい匂いがする。

 ケロ親方が梱包されていた箱には、ラッピングされた小さなプレゼントも入っていた。中身は、2種類の綿と「おくすり」と書かれた紙袋、そして1枚のフォトCD。綿は、もともとケロ親方のお腹に入っていた「千切れてダマになってしまった綿」の一部と、入れ替えた「ふわふわの綿」のサンプルらしい。これがあれば、ぬいぐるみの見た目だけでなく、実際にどのような治療が行われたのかがよく理解できる。「おくすり」の袋に入っていた飴玉は、病院の薬剤部が処方した化膿止めの薬ということらしい。

ラッピングされた小さなプレゼント

■CDの中には入院中の写真がいっぱい

 フォトCDに収められていたのは、入院中のぬいぐるみを撮影した写真だった。入院直後のケロ親方から、ぬいぐるみ扮する院長による診察風景、綿入れ替え手術の場面、そしてリハビリ(!?)の様子まで。退院までの日々が50枚以上にわたって記録されている。中には、手術前に綿をすべて抜かれて、ぺちゃんこになったケロ親方の姿も。病院のサイトや『ハイ!こちらぬいぐるみ病院です。』の世界観を、自分のぬいぐるみを主人公にして再現したようだ。

 同病院を運営する株式会社こころによれば、ぬいぐるみのサイズや治療内容にもよるが、費用は10000円前後だという。ケロ親方は特に大きなサイズだったため、入院費用は締めて15,600円(税別)。外見的な仕上がりの良さに加え、こういった「至れり尽くせり」のサービスを体験してみると、決して高くない料金設定であることがわかる。

 自分のぬいぐるみに並々ならぬ愛着がある持ち主は、それを捨てて新しい商品に買い換えることはなく、今後こうしたサービスを利用する機会が増えるだろう。

 入院まで1年待ちとアナウンスしていた「ぬいぐるみ病院」だが、現在急ピッチで受け入れ体制を整えており、12月の下旬には、入院の予約受付を再開するようだ。ずっと大切にしているぬいぐるみが傷んだり汚れていたら、一度入院させてみてはいかがだろうか。