「保育園落ちた日本死ね」保活を勝ち抜いても…母親がはまる、さらなる落とし穴

食・暮らし 2016年3月5日掲載

 保活に失敗したママがアップした「保育園落ちた 日本死ね!」というタイトルのブログが大きな話題となっている。

 子どもを保育園に預けて活躍したくても、預け先がない――これが日本の現状だが、無事に保活を勝ち抜けたとしても、母親の本当の戦いは、むしろそこからスタートするのだ。

■夫も姑も「敵」になる

 ようやく子どもを預けて働きだした母親を待っているのは、「俺は今日飲み会だし、お迎えとか無理だから」という夫の無神経な一言、「こんなに小さいうちから預けられて、かわいそうでちゅねー。お母さんお仕事だから、我慢ちてねー」という姑からの嫌味なんだとか。

 都内激戦区での保活になんとか勝ち抜き、長男を6か月から認可保育園に預けて働きだしたMさん(37)もその一人だ。「どう考えても嫌味にしか聞こえない、姑の気遣いメール」に辟易している。姑は専業主婦歴35年、自分の息子を洗濯ひとつ満足にできない男に“育て”上げた。

 先日、夫が姑に送った、子供が手足口病にかかったという近況メールの返事は、なぜか嫁であるMさんに来た。

 タイトルは「保育園はばい菌の巣だから、気を付けてやってね」。

 Mさんはこれを見ただけで、どっと疲れて、とうとう本文は読まずに適当に返事を出したという。

 子供が体調を崩せば、職場に迷惑をかけることが分かっていても、同僚に頭を下げながら、即お迎えに行かざるを得ない。熱で機嫌が悪い子供を抱いて、医者に向かいながら、Mさんはどうしようもなく流れてくる涙を止めることができなかった。

 厳しい保活を勝ち抜いてやっと入園しても、周囲の協力と理解が得られないと、子供を置いて働きに出ることへの罪悪感はどんどん高まっていく。

 毎朝登園時に泣くのは、私が働いているから?

 働いていなければ、レトルトの離乳食なんて食べさせなくてすむ?

 子供が病気ばかりするのは、集団生活をさせるのが早すぎたから?

 いま、Mさんは、インフルエンザで1週間休まざるを得ない子供の看病をしながら、働きながら子どもを育てたいという、自分の選択がはたして正しかったのか、自問自答しているという。

■罪悪感を持つ必要はない

悩みは尽きない…

 日本で大きくなった40代以下の人なら、必ず一度は手に取ったことがある名作絵本『ぐりとぐら』の作者で、保育士をしながら子育てをした中川李枝子さんは、『子どもはみんな問題児。』で子どもの持つ力をこんな風に書き、お母さんたちに大丈夫、とエールを送っている。(以下、「」内は同書より引用)

「子ども同士で集まると『お母さん自慢』をして喜び合い、大好きなお母さんが本当に困った時には、ちゃんと気配を察知する力ももっています」

 そして、子どもが保育園に通うことの意味について、こう綴っている。

「保育園ってどんなところでしょうか。

 大人からすると『仕事をしている間に行かせるところ』でしょうが、子どもはそうは思っていません。

 親が働いているから行くのでなく、自分が行きたいから行くところです。

 活発で好奇心旺盛な子どもたちは、うちになんか閉じこもっていられません。保育園にはうちにはないおもちゃがあります。何より遊び相手がいます。うちではできない遊びができます。そして安全地帯になる先生たちもいるのです。存分に、自分を解放できるではありませんか」

■一番の味方は子ども自身!

 たとえ夫や、祖父母、同僚、上司が、母親の味方になってくれなかったとしても、子ども本人は、誰よりも母親の味方でいてくれる。

 それに早めに気づけるか気づけないかで、その後の子育ては全く違ったものになる。子どもの笑顔をじっと見つめれば、母親に罪悪感を植え付けているのは、子供本人ではなく、自分と周囲の大人であることに気付けるはず。

 中川さんはこのようにも母親を励ます。

「保育園で子どもを注意するとき、『そんなことをしたらお母さんが悲しむでしょう』というのがいちばん効きました。それは男の子も女の子も同じ。

 自分の好きな人を悲しませるわけにはいかないのです。

 そうやって子どもたちは、お母さんを通して世の中の大事なこと、いいことを覚えていくようです。ですから、私はお母さんはどこまで知っているかしら、こんなに子どもに愛されて幸せねと思っていました」

デイリー新潮編集部