上海ディズニーランドに行ってみた――走りながら放尿する子、割り込みは当たり前

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 6月16日、待ちに待った上海ディズニーがオープンした。3時間の交通圏内には3億3000万人が住んでおり、広さは東京ディズニーランドの1・8倍。これで499元(約8000円)は、高いのか安いのか。そこでディズニー好きの本誌記者が行ってみた。
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東京ディズニーランドの1・8倍

 オープン後、最初の週末の朝8時、開園時間に合わせてディズニーの正門に向かうと、もう長い行列が出来ている。

 まず、手荷物検査を受けてから、予約番号が印字されたメール(あるいはディズニーの予約ページをプリントした紙など)を見せなければいけない。係員が書かれた番号をパソコンに打ち込み、初めてパスが発券される。ところが、そこへ予約もないのにやってきた中年男性がゴネはじめる。

「家族でせっかくここまで来たんだ。お金を払うから入れてくれよ!」

 もちろん、係員は断るのだが、男性のネバること。お蔭で記者が並んだ列はストップである。結局40分待たされた。門をくぐると正面にはミッキーマウスの銅像があって、やっとディズニーに来た気分になる。

立ち入り禁止や喫煙禁止の場所でも

 とりあえず「七人のこびとのマイントレイン」というアトラクションに入ってみる。行列は2時間待ち。だが、すぐにズルをするファミリーが現れた。

「列の先に家族がいるんで」

 と行列をスルーして行くのだ。

「ちょっと! あんたたち並びなさいよ」

 後ろにいたオバさんが怒鳴るが、聞こえないフリ。見慣れないやりとりに最初から緊張が走る。

■下半身丸出し

 次は「アナと雪の女王」。これは劇場型のアトラクションで、皆シアターの前に並ぶ。ところが、子供がやってきてスルスルッと一番前に立つではないか。入場が始まると、子供の後を追うように親たちが我先に入ってゆくのである。

 実はこれ、上海ディズニーの割り込みで一番多い手口だ。まず子供を一番前に立たせ、それを追うように父親がダッシュ、そして母親が続き、ちゃっかり良い席を取ってしまう。記者は、いつのまにか一番後ろになってしまった。

「アナと雪の女王」はミュージカル形式のショート・ドラマ。ところが、始まって間もなく、あちこちから携帯の着信音が。しかも、ムードぶち壊しの中国歌謡である。

 どこへ行ってもこの調子なので、軽食を買いに売店へ。日本でも売っているミッキーまんが35元(560円)。でも、これって東京ディズニーランドだと450円だったはず。ペットボトル飲料は、ほとんどが約250円。だが、上海っ子は買わない。トイレそばの無料の水場には長い行列が出来ていた。

 ハーッ、疲れた。もう帰ろうと出口に向かうと、突然、下半身丸出しの子供が目の前を駆け抜ける。なぜか走りながらオシッコをしているではないか。だが、親は笑っていて誰も注意しない。ふと植え込みを見ると、掃除のオジサンの横で、男の子がこれまた立ちション。

「こっちでしなさい」

 優しそうなオジサンは別の植え込みの場所を教えていた。

 土産屋の前にいた40代の男性に聞いてみる。

「子供も喜んでいたから来て良かったよ。行列の割り込みが多い? 今日は大体の人が並んでいたじゃないか」

 そうか、ここは中国だった。

「ワイド特集 一難去ってまた一難」より

週刊新潮 2016年6月30日号掲載

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